ストレス性疾患で休職後に職場復帰を目指す方に向けた「復職成功マニュアル」(PDF版17ページ)を、ダウンロードいただけます。

ストレス性疾患での休職で最も多い診断が「うつ病」です。

適切に休養・治療・リハビリを行えば、多くが回復しますが、再発率が60%と非常に高く、さらに2回、3回と繰り返すほど再発率は高まります。ですから、再発防止が非常に重要です。

正しい知識を持って適切に休養・治療・リハビリを行えば、ほとんどが回復する病気ですが、知識がなかったり、偏見や思い込みに捉われていて、間違った対応で回復を遅らせ、再発を繰り返す方も残念ながらいらっしゃるのが現状です。

そのような方を一人でも減らしたいと、このマニュアルを作成しました。

休職から職場復帰に至るまでの流れ、疾患についての理解、再発防止のためのヒント、経済的な手当てや医療費の助成について解説するとともに、「あるある!先輩たちの体験談」として、休職者の方が抱えがちな疑問や不安に対する対処法や考え方をコラム形式で掲載しています。

体調の良い時に少しずつ、読めるところからお読みください。

正しい知識を知ることで、適切な過ごし方・治療・リハビリの流れが分かり、やるべきことが明確になり、不安や焦りが少なくなります。

休職者ご本人様用の冊子ですが、受け入れ職場の管理職・人事担当者の方も、ぜひお読み下さい。

復帰する側も、受け入れ側も、双方が正しい知識を持ち、ストレスのないスムースな職場復帰のためにご活用いただければ幸いです。

利用シーン、読者様の感想

ストレス性疾患で休職後に職場復帰を目指す方(休職者ご本人)

体調不良で受診したら休職を勧められ、はじめての休職。「まさか自分が…」とショックだったし、どう過ごせばいいのか?復帰できるのか?と、最初は不安しかありませんでした。
人事から「体調がよい時に少しずつ読んでみて」とマニュアルをもらって、病気のことや休職中の過ごし方が理解でき、安心できました。
少し体調がよくなってから主治医のOKが出たので、常光先生のコンサルも受けました。自分自身を客観的に振り返ることができ、なぜストレスをためてしまったのか、今後自分がどうすべきかを客観的に理解することができました。
休職=マイナスとしか捉えていませんでしたが、「病気や休職の経験を活かして復帰して活躍している人もいるよ」という事例も聞かせてもらい、自分もこの経験を今後に活かすことができると、前向きに思えるようになりました。

人事担当者

職場復帰の流れやサポート体制が会社内で決まっておらず、各人事担当者がそれぞれに本人と職場の話を聞きながらケースバイケースで対応していました。しかし、なかなかうまくいかず、こじれてしまうケースもあり、困っていました。
この冊子を読んで、休職中・復職時に確認すべきポイントがよく分かり、これまでうまくいかなかった理由も理解できました。
今は会社内で休職~復職の流れをしっかり制度化し、産業医等のリソースもきちんと活用できるよう仕組みを整えているところです。
特に人数が少ない会社では、休職件数もそれほど多いわけではなく、後手に回りがちだと思います。しかし対応を誤ると訴訟リスクもありますし、貴重な人材を失ったり、受け入れ職場の疲弊にもつながり、影響は甚大です。
会社としてきちんと仕組みを整えておくことが大事だと改めて感じています。

受け入れ職場の管理職、チームメンバー

他部署でうつ病を発症して休職し、復帰時にうちの部署に異動してきたメンバーがいます。
最初は軽作業で様子を見ていましたが順調に回復し、本人の成長意欲も高く、本人の希望もあって少し複雑な業務にアサインしたところ、調子を崩してしまいました。
その時にこのマニュアルを読み、管理者としてどうサポートすればよいのかがよく分かりました。
本人の希望を尊重して任せて良い点、管理者として健康状態を確認し、ブレーキをかけたほうが良い点の見極め方が分かりました。
また、常光先生のコンサルを受けたり、産業医の先生にも関わっていただいています。
管理職が一人で抱え込むのではなく、専門の先生方に相談しながら関わることが大事だと思います。

休職者のご家族

配偶者がうつで休職になりました。休養が必要と頭では分かってはいても経済的なことがとても不安で、本人に「そんなに休んで大丈夫なの?」「転職したほうがいいんじゃない?」などと言ってしまっていました。
この冊子を読んで、休職して終わりではなく、復帰して活躍している方も多くいらっしゃることを知り、傷病手当等の給付についても分かり、安心できました。

コンテンツ

1.職場復帰の流れ

2.まず病気について理解しよう――うつ病、うつ状態とは?

休職する方で最も多い診断が「うつ病・うつ状態」という診断です。これは一言で言うと「エネルギーが枯渇する病気」です。7人に一人がかかるというデータもあるくらい、かかる人が多い病気です。

エネルギーの枯渇とはどういうことなのか、車のガソリンに例えて解説しています。

3.うつ病の回復過程

【1】 休養期

  • あるある!先輩たちの体験談<休みに入る前編>
  • あるある!先輩たちの体験談<休養期編>

うつ病の治療は、まずエネルギーを回復させることから始まります。

最初は「休養」と「薬の服用」で症状を改善する時期=休養期です。

休養期は、気分の落ち込み・不安・イライラ・不眠・食欲低下などがもっともつらい時期なので、先が見えず不安になることもあるかもしれません。

しかし、出口は必ずあります。光があることを信じて休みましょう。

【2】 リハビリ期

  • いきなり職場復帰ではなく「リワーク」を活用しよう
  • あるある!先輩たちの体験談<リハビリ期編>

「休養」と「薬の服用」によって、ある程度エネルギーは回復してきたら、続く【リハビリ期】では、[生活のリズムを整える時期→復職前→復職後]と段階を踏んで、焦らずゆっくりと、さらにエネルギーを回復させましょう。

リハビリ期は「はやく復帰しなければ」と焦りや不安でつい無理をしてしまいがちな時期でもありますが、そのような気持ちに振り回されず、自分のペースで一歩一歩、自分なりの生活を取り戻していくことが大切です。

やみくもに頑張るのではなく、今回休職に至った原因を振り返り、「今後、自分なりにどのように働いていくのか」気持ちや考えを整理し、再発しない持続可能な働き方・生き方を考えていくことが大切です。

【3】 再発防止期

うつ病の再発率は60%というデータもあり、再発防止がとても重要です。

再発をしないためには、エネルギーの効率的な使い方を考えていく必要があります。

自分のエネルギー量を知り、不調に早めに気付き、ストレス対処法を増やし、専門家をうまく活用して、フォローアップを受けながら再発しない生き方・働き方を構築していきましょう。

4.再発防止のためのヒント集

  • 呼吸法
  • 活動記録表
  • 質の良い睡眠のとり方
  • アサーティブネス

休養と薬の服用によってエネルギーを回復させても、元の生活に戻ってしまっては再発してしまいます。

再発防止のためにはストレスマネジメント力・コミュニケーション力を高めていくことが不可欠です。

5.病気で会社を休まれる方への給付について(傷病手当金、医療費の助成)

経済的な不安が休養の妨げになってしまうことがよくあります。

健康保険から給与の3分の2が支給される「傷病手当金」や、医療費の自己負担が3割から1割に減額される助成がありますので、ぜひ活用しましょう。

手続きは会社の総務担当者等に代行してもらえます。会社の担当者にたずねてみて下さい。

6.あとがき――さらなる人生の充実のために

精神疾患からの回復を目指すクライアントさんから「早く元気になって元の自分に戻りたい」という声をとてもよくお聞きします。

そのようなクライアントさんに対して筆者は「元に戻ることを目指したらダメですよ。病気になることは悪いことではなく、元の生活に何らかのしんどさがあったから、身体が『もうムリ!』と知らせてくれたサインです。せっかく病気になれて、気づくきっかけをもらったのですから、元の自分よりももっと幸せになることを目指さないと、再発のリスクも高まるし、自分もしんどいし、もったいないですよ」とお伝えします。

そうしてご病気をきっかけにご自身の生き方や考え方を振り返り、効果的ではない思い込みを手放し、柔軟な思考を手に入れ、ストレスマネジメント力やコミュニケーション力を身につけていかれた方は、「視野が広がった」「自分にとって大事な本質に気付くことができた」「前よりもずっと生きやすくなった」と、元の自分よりも幸せな状態になっていかれます。そうなれば、再発もほぼありません。

もし今、「早く元に戻らなきゃ」と焦っているなら、目先の職場復帰だけにとらわれず、少し視野を広げて考えてみて下さい。あなたの人生がもっと充実するように、本質を考えていきましょう。

「休職してキャリアが終わる」というような間違った思い込みに捉われている方もいますが、とんでもないことです。病気をきっかけに成長して、仕事もプライベートもさらに充実している先輩方がたくさんいらっしゃいます。ぜひこの経験を今後に活かしていきましょう。

執筆者プロフィール

常光瑞穂

人と組織のWin-Winで幸せな成長を支援する心理コンサルタント。国家資格キャリアコンサルタント。臨床心理士。

京都大学大学院工学研究科修了後、子どものころから憧れたエンジニアとなるが当時の長時間労働の働き方が合わず1年余りで退職。自身のキャリアが見えなくなったことを機に京都大学、立命館大学大学院にて心理学を学ぶ。2003年開業。修士(人間科学、工学)。

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