この記事では、「意志が弱くて行動が続かない」とお悩みの方への解決策を、キャリアコンサルタント・臨床心理士の立場で解説します。

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継続できる人と、できない人の違い

定期的な運動や健康的な食生活・生活習慣をしたいけど、なかなか続かない

資格やスキル取得のための勉強が続かない

こんなお悩みはありませんか?

やりたいことや、やらなければならないことがあるのに続けられないと、「意志が弱くてダメだ!」と、自分を責めて自信を失くし、つらくなるので、さらに行動力が下がり、自分を責めてしまうという悪循環になることもあります。

このような悪循環をやめ、行動継続力をアップして「今日もできた!」と達成感・自信を持ち、毎日が充実して楽しい、そしてさらに行動したくなるという好循環に変えて行くために、ぜひ最後までお読みいただけましたら幸いです。

ほとんどの人は意志が弱い

まず、前提として、ほとんどの人は意志が弱いです。

継続できる人とできない人の差は、意志の強さではなく、

  1. 目標設定の仕方
  2. 行動計画の立て方

この2つです。

つまり、行動を継続できる人は、意志の強さだけでゴリゴリ頑張っているわけではなく、目標設定と行動計画の立て方が上手なのです。

ですから誰でも、この2つのポイントを学べば、行動を継続できるようになります。

では早速、1つ目のポイントである「目標設定の仕方」から見ていきましょう。

①効果的な目標設定の方法

効果的な目標設定の2つのポイント

効果的な目標設定は、

  1. 具体的で達成したことが分かるもの
  2. 達成したときに本当にうれしいもの

です。

たとえばダイエットなら、ただ漠然と「痩せなければ」と思うだけでは具体的ではなく、どれだけ痩せたらいいのか分かりません。このような目標は行動が継続しづらいです。

ですから、「3か月後の沖縄旅行でこの服を着る」のような具体的な目標がよいでしょう。

「お気に入りの服を着たい」とか、「ウエットスーツが入らないと困る!まだ買い替えたくない」のような具体的で明確な目標。そして、その目標が達成できたら本当にうれしいだろうな、買い替えなくてもいいからコスパもいいし、楽しい気持ちで旅行も2倍楽しめるだろうなという、達成したときに本当にうれしい目標設定を考えます。

目標がいつも目に入るようにする

さらに、人間は忘れやすいものですから、目標がいつでも目に入るようにしておきます。

たとえば、ウェットスーツを見えるところに飾っておけば、「沖縄でダイビング楽しみだなー。ウェットスーツが苦しくないようにダイエットも頑張るぞー!」と、達成したら嬉しいだろうなという気持ちと同時に目標を常に思い出すことができます。

すると、「今日はなんだか疲れて運動がだるいなー」と思ったときでも、「いや、でもダイビングを楽しみたいから、少しだけでもやろう」と思えるでしょう。

「最初はだるかったけど、実際に運動を始めてみたら気分転換にもなって良かったな」というように、行動を継続できます。

写真をスマホの待ち受けにしたり、冷蔵庫に写真を貼っておくのもよいでしょう。

夜中に小腹がすいて冷蔵庫をあさりそうになった時、その写真を見ると「せっかく運動したんだし、今日は我慢しよう」と、目標を思い出すことができます。

明確な目標があれば、このように少しのガマンや頑張りがききます。

その積み重ねで着実に成果が出始めるので嬉しく、「やればできる」という自信にもつながり、さらに行動したくなります。そして、もうちょっと頑張れます。

このような好循環を生み出すことがポイントです。

次に、NGパターンの目標設定を2つご紹介します。

具体的ではない目標はNG

1つ目は「とにかく痩せたい」のような具体的ではない目標です。

このような目標では、達成したときの嬉しいイメージが明確になりませんから、目先の「疲れたから動きたくない」「甘いものを食べたい」という本能的欲求に負けてしまいます。

義務のような目標もNG

2つ目のNGパターンの目標は、達成したときに本当にうれしいものではなくて、達成しなければならない義務のような目標設定です。

たとえば「3キロ痩せて、健康診断の数値を改善しなきゃ」という目標設定は、あまりワクワクしないのではないでしょうか。

実際に3か月後に3キロ痩せて、健康診断の数値が去年より改善したという結果が出ても、めちゃくちゃ嬉しい、ワクワクするという喜びではなく、「良かったな、ホッとした」という義務を果たした気持ちが強いでしょう。できたら嬉しいというプラスの目標ではなく、できてやっと人並みでゼロ、できなければマイナスという目標設定になってしまっています。

このような義務感からの行動は苦しくなるので継続が難しいですし、達成したときの喜びよりも、達成できなかったときに、自信を失ってしまいます。

すると、冒頭でお伝えしたような、できなかったときに自分を責め、自信をなくし、つらくなるのでさらに行動継続力が下がって…という悪循環になってしまいます。

実際に医師やスポーツトレーナーから、「体重を落としましょう」と言われていたとしても、それをそのまま「体重を落とさなければダメだ!」と目標設定にするのではなく、自分がワクワクする、達成したときに心からめちゃくちゃ嬉しいと感じられる具体的な目標設定に置き換えます。

すると、ワクワクする目標を達成する過程で、結果的に義務の目標も達成していけるはずです。

さて、ここまで、ダイエットを例に目標設定を考えてきましたが、次にビジネスシーンでの例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの目標設定例

ビジネス上の目標設定なら、「同期の皆も資格を取っているから、自分も資格ぐらい持っておかないと」とか、会社から言われているから、「TOEIC何点にしないと」いうような、義務のような目標設定はNGです。

5年後、10年後に自分がどんなビジネスパーソンでありたいか、「この先輩みたいになれたら本当に素敵だな」とか、「こんなことができる自分になったらかっこいいな」とワクワクするイメージから、目標設定をしましょう。

同じ「英語力アップ」という目標でも、人によって目指す目的は様々です。

もう少し踏み込んで、英語力を使ってどんなことができたら自分がワクワクするのかを考えてみます。

たとえば

海外旅行で、お店の人や現地の方とちょっとした会話が楽しめるようになったら楽しそう!

海外出張をドキドキせずにサラッとこなせるようになりたい!「来週からシンガポールなんだよ」なんてサラッと言えたらカッコいいな!

こんなふうに、「これができたら嬉しい」と自分がワクワクする目標を見つけていきます。

英語力を身につけること自体が本当の目的ではなく、TOEICの点数が昇進試験や昇給のために必要のように、手段として英語力を高めたいという場合もあるでしょう。その場合は、

TOEICを○点にして昇給して、子どもに何でも気兼ねなくやりたい習い事をさせてあげたい

TOEICを○点にして昇給して、家族で来年は○○に旅行に行こう!ちょっとリッチなホテルのプールサイドでビール飲みたいなー

このように本当の目的を明確にした目標設定にします。

何にワクワクするかは人それぞれ違いますし、何にワクワクしてもOKです。

自分が「このためだったら自然と頑張れる、頑張りたいと思える」心からワクワクする目的・目標を見つけていきましょう。

②行動継続に必要な行動計画

次に、継続できる人が上手なポイントの2つ目、行動計画の立て方について見ていきましょう。

強度やレベルの違う様々な行動を組み合わせる

効果的な行動計画は、一種類の行動ではなく、強度やレベルの違う様々な行動を想定し、組み合わせるのがポイントです。

運動を継続したい場合なら、

  • スポーツジムに行く
  • 別のチケット制のヨガのクラスに行く
  • 友だちとハイキングに行く
  • ひとつ前の駅で降りて歩いて帰る
  • YouTubeでお気に入りの人の動画を見ながら10分だけ運動する
  • 自宅でストレッチをする
  • 普段から階段を使う
  • 電車で座らずに立つ

のような、様々な強度やレベル、内容の行動を計画しておきます。

「今日は仕事で疲れたからジムはいけないな」という日には、「ひとつ前の駅で降りて歩いて帰ろう」「YouTubeで○○さんの動画を見て10分だけ運動しよう」「寝る前に5分ストレッチだけしよう」などと、別の選択肢を取ることができ、運動を継続できます。

つまり、行動継続力のある人は、強度やレベルの違う様々な行動を想定し、その日のコンディションや状況に応じて組み合わせるのが上手なのです。

意志が強いというよりはむしろ逆で、過度に無理をせず、柔軟に計画を変更できるから続けられます。

一種類だけの行動計画は挫折しやすい

NGパターンの行動計画は、「週3回ジムに行く」のような、一種類だけの行動計画です。

このような行動計画だと、最初はやる気満々でできても、「今日は疲れているな。だるいなー」という日に「明日にしよう」と先送りしがちになり、三日坊主になりやすいです。

「やるかやらないか」ではなく「何をやるか」の選択にする

つまり、効果的な行動計画では、様々な強度や内容の行動を想定しておくことにより、「今日はやるかやらないか」を考えるのではなく「どのメニューを選ぶか」の選択になっています。

つまり「今日はやらない」という選択肢がないから継続できます。

高い目標を立てて「100%やらなきゃ」と思って、結果的に一週間に2回しかできずに残りの5日間は0というよりは、「100%できる日はやるけど、半分しかできない日、3割しかできない日があってもいい」という想定で、100%の日が週1回、80%の日が週2回、50%の日が週2回、30%の日が週2回の方が、トータルでは2倍以上も行動できます。

さらには、後者の方がコンディションや予定に合わせて無理がない計画ですからラクですし、行動量が多いので成果が出やすく効果的です。

成果が出ると自信にもつながりますし、幸せ感も上がります。

ビジネスシーンの行動計画例

ビジネス上の目標も同じです。

「英語や資格試験の勉強を毎朝1時間やる」のような一種類の行動計画しかないと、「今日は起きれなかったな」「明日こそ頑張ろう」と先送りしがたいになり、継続が難しいです。

  • 朝1時間勉強する
  • お昼休みに一人でカフェに行って勉強する
  • 10分だけ英語アプリをやる
  • YouTubeで10分だけ学習系の動画を見る
  • 興味のある研修やオンラインレッスン、資格試験対策講座に参加する
  • 通勤時間に本を読む、オーディブルで聴く

のように、様々な手段を計画しておきましょう。

「このくらいはやらなければ」という高い目標を立てても、結局やれなければ意味がありません。

一人で1時間やれるときはやる、時間やモチベーションが足りない時も「明日にしよう」と先送りしてゼロにするのではなく、10分でもやる、3分でもやる、通勤中に聞き流すなど、細切れの時間を活用したり、ながらでできることをやったりして、ゼロにはしないことが大切です。

一人では行動継続が難しいことが多いので、研修や講座に参加して「みんな頑張ってるから自分もやらなきゃ」と、いい刺激をもらえるような計画を入れておくことも効果的です。

5分でも10分でも継続できれば力がついてきますし、「少しずつでも続けられている、やればできるじゃないか」と自分に自信も持てます。

そして、だんだん慣れて、20分、30分とできるようになっていき、最初は難しく思えた朝1時間勉強するという行動もだんだんできるようになっていきます。

「意志が弱くて行動が続かない」とお悩みの方は、①目標設定と②行動計画の2つを見直してみて下さい。

ワクワクする目標に向けて、マイペースで楽しく続けていきましょう。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

常光瑞穂

人と組織のWin-Winで幸せな成長を支援する心理コンサルタント。国家資格キャリアコンサルタント。臨床心理士。

京都大学大学院工学研究科修了後、子どものころから憧れたエンジニアとなるが当時の長時間労働の働き方が合わず1年余りで退職。自身のキャリアが見えなくなったことを機に京都大学、立命館大学大学院にて心理学を学ぶ。2003年開業。修士(人間科学、工学)。