やりたいことや、やらなきゃいけないことがあるのに、「どうやったらいいんだろう?」「どっちの方法がいいんだろう?」などと、頭の中であれこれ考えるばかりで、なかなか行動できないことはありませんか?

この記事では、そんなときにサクッと行動できるようになる考え方について、キャリアコンサルタントの立場でお伝えします。

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「試す」ことの重要性

行動する前に迷うことがあったら、頭だけで考えずに実際に「試してみる」ことが大事です。

例えば、服を買いに行って「どちらの服にしよう?」と迷ったら、試着をするのが一番早くて確実です。

試着してみると、「素敵!」と思ったものが全く似合わなかったり、逆に「いまいちかな」と思っていたものがすごく似合って素敵だったりします。

試着してみなければ分かりません。

プロほどちゃんと「試して」いる

あるイメージコンサルタントの方は、服を選ぶときの大事なポイントとして「必ず試着をすること」を挙げられていました。

プロなら試着しなくても分かるのではなく、プロほどちゃんと試着しています。

一発で失敗しないものを選べているわけではなく、小さな失敗をたくさん繰り返して最適なものを選んでいるのです。

また、私たちの身の回りの工業製品はすべて、製品になる前にたくさんの試作品を作り、様々なアイデアや形状を試したり、性能をテストしてから実際の製品になっています。

自動車なら、新製品が発売される2年も前から何度も試作やテストを繰り返しますし、建築物も実際に建てる前にCGや模型を作って確かめながら設計します。

最初の1回の試作品がそのまま製品化されるということはありえません。

「ちょっと試しにやってみよう」くらいでちょうどいい

人生もキャリアも同じです。

何事も最初からいきなり本番のつもりで、「ちゃんと成果を出さなくては!」と、ガチガチになっていたら行動できなくなります。

すべての行動は試作であり、「ちょっと試しにやってみよう」と考えるくらいでちょうどいいのです。

生き方やキャリアデザインが上手な方は、最初からうまくいったり、やりたいことがはっきり分かってから進んでいるわけではなく、様々な試行錯誤をたくさん繰り返しています。

思い通りにならなかったときの考え方

失敗ではなく「この方法はダメだと分かった」という成果

やってみて思ったような結果にならなかったとしても、それは失敗ではなく、「試作の結果、この方法はダメということがよく分かった」という成果です。

モノ作りのプロであるデザイナーやエンジニアは、このような時に「自分はダメだ」とガックリきたりはしません。

「なるほど!そうなるのか。プランAではうまくいかないことが分かった。じゃ、次はプランBで行ってみよう!」と、考えます。

試作した結果ダメだと分かったら、次に進めるからうれしいのです。

様々な可能性を比較検討するために試作をするのですから、すべてがうまくいくなんてありえませんし、すべてを成功させる必要は全くありません。

そのような試行錯誤を繰り返しながら、目的に向かって進んでいくことこそが、デザインの面白さであり、醍醐味です。

心から納得している行動は続くから成果が出やすい

少し試しにやってみて
・しっくりくる
・これでよさそう
・もっとやってみたい!
という気持ちになったら、そのまま続ければいいでしょう。

自分が心から納得している行動は続きます。

行動を継続すればリソースが手に入ります。

そして、リソースがあれば成果が出やすくなる、好循環ループに入っていけます。

好循環ループに入ってからも、「自分が登れる段差を確実に登り続ける」「試しながら進む」という考え方は同じです。

なぜなら工業製品や建築物と違って、人生に完成品はないからです。

一つ理想を叶えても人生は続きます。

一つ理想を叶えることで、「次はもっとこうしてみたい」という次の理想がまた見えてきます。

がんばって何か一つの成果を出すことが人生の目的ではなく、理想に向かって歩み続けるというプロセスそのものが人生です。

短期的な結果を出すことだけにとらわれず、プロセスを楽しみながら自分らしく進んでいきましょう。

未来は誰にも分からない

理想に向かうための小さな階段は、最初から全部見えているわけではありません。

未来がどうなるかなんて誰にも分かりません。ですから、最初から進むべき道ややり方がすべて分かるわけがないのです。

せいぜい足元の数歩先が見えているくらいです。

分からないなりに試しながら一歩進めば、また次の一歩が見えてきます。

この時、自分がこんな人生にしたいという方向を見失わないことが大事です。

この方向を見失ってしまうと、自分が行きたい人生ではなく、世間や他人から期待される人生に流されて行ってしまいます。

自分の行きたい方向がなんとなくは分かっているんだけど、まだ明確に言語化できていない…という方は、「なんとなくこっち」という感覚だけでも大丈夫です。

その感覚を頼りに、自分の心の声を聴きながら、ワクワクする方、しっくりくる方、自分らしいと感じる方に一歩ずつを進んでいきましょう。

頭でハッキリとは分かっていなくても、心はちゃんと自分のニーズを分かっていることが多いものです。

また、試しに進んでみて「違うな」と思ったら、また戻ればよいだけです。

行動力を上げるためのポイント

行動力を上げるためのポイントは、「迷ったときには頭だけで考えずに試してみる」ことです。

「やろう」ではなく「やってみよう」が効果的

私のクライアントに「『やろう』と思うとなかなか行動できなかったのに、『やってみよう』と思うと気楽にできるようになった」という方がいらっしゃいました。

そして実際にやってみると、

  • 難しく考えすぎていたことも、案外やってみるとできることが多かった
  • 頭で考えていたのとは全く別のポイントが重要だと気づけたことも多く、成長スピードが速くなった

と実感されていました。

「やろう」から「やってみよう」に言葉を変えるだけで、行動や成果が変わるのは興味深いですね。

悩み続けることに時間を使うのはもったいない

私たちはみんな、どうせ地球上にいるのはせいぜい100年くらいです。

その100年を「失敗したらどうしよう」「うまくいかなかったらどうしよう」と悩み続けることに時間を使うのはもったいないのではないでしょうか。

迷ったらサクッと試しにやってみて、うまくいけばラッキー!、うまくいかなかったら「この方法ではうまくいかない」と分かるから前に進めると考えると、精神衛生上も、タイパもいいです。

「やろう」ではなく、「やってみよう」という自分への言葉かけ、よかったらやってみて下さいね。

この記事を書いた人

常光瑞穂

人と組織のWin-Winで幸せな成長を支援する心理コンサルタント。国家資格キャリアコンサルタント。臨床心理士。

京都大学大学院工学研究科修了後、子どものころから憧れたエンジニアとなるが当時の長時間労働の働き方が合わず1年余りで退職。自身のキャリアが見えなくなったことを機に京都大学、立命館大学大学院にて心理学を学ぶ。2003年開業。修士(人間科学、工学)。