将来が見えずに不安になったり、何となく「このままでいいのかな?」と感じることはありませんか?

この記事では、そんなときに勇気をもらえる、スティーブ・ジョブズ氏の有名なスピーチを引用し、興味と直感からキャリアデザインする方法について、キャリアコンサルタントの立場で解説します。

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未来は誰にも分からない

まず、キャリアデザインの前提として、未来がどうなるかなんて誰にも分かりません。

ですから、最初から進むべき道ややり方がすべて分かるわけがありません。

せいぜい足元の数歩先が見えているくらいです。分からないなりに試しながら一歩進めば、また次の一歩が見えてきます。

この時、自分が「こんな人生にしたい」という大まかな方向を見失わないことが大事です。

この方向を見失ってしまうと、自分が行きたい人生ではなく、世間や他人から期待される人生に流されて行ってしまいます。

行きたい方向性は明確に言語化できていないくても、「なんとなくこっち」という感覚だけでも大丈夫です。

頭でハッキリとは分かっていなくても、心はちゃんと自分のニーズを分かっていることが多いものです。

スティーブ・ジョブズ氏の
Connecting the dots:点と点をつなぐ

スティーブ・ジョブズ氏の有名なスピーチに「Connecting the dots:点と点をつなぐ」という考え方があります。

ジョブズ氏は若いころに大学を退学し、正規のカリキュラムを受ける必要がなくなったので、何か面白そうな授業を受けてみようと、興味と直感のおもむくままカリグラフィーの授業を受けました。

当時はそれがコンピューターの仕事に応用できるとは全く思えませんでしたが、10年後にMacを設計していた時によみがえってきました。

そして、Macに美しい活字フォントが組み込まれ、私たちが今コンピューターを使う時に好きなフォントを選べるようになっているのです。

ジョブズ氏は、この体験を振り返り、「大学にいた時に将来を見据えて点と点をつなげることは不可能だった。しかし、10年後に振り替えると、とても分かりやすくハッキリと点と点のつながりが見えた。未来を見て、点と点をつなぐことはできない。後で振り返ったときにしか点と点はつながらない。だから私たちは点と点が将来に結び付くと信じなければならない」と述べています。

興味と直感の必要性

点と点をつなぐためには、自分の興味や直感をキャッチでき、それに素直に従えることが必要です。

カリグラフィーの学びがのちのMacの開発に活かされたのは、ジョブズ氏が手当たり次第に何でもやったからではなく、自分の興味と直感という心の声に従ってそれを選んだからです。

また、ジョブズ氏が興味と直感に従って行なった行動のすべてが、このように明確につながっているわけではありません。

表面上は何にもつながっていないように見えるものも多いでしょう。

しかし、表面上目に見える形ではつながっていなくても、何かにワクワクして取り組んだことが次の行動の原動力になったり、美意識を鍛えることにつながっていて、独自の世界観を生み出していたり、水面下では必ずつながっています。

点と点がつながると信じる力が理想のキャリアをつくる

「好き」「やりたい」「興味がある」「楽しそう」「面白そう」「チャレンジしたい」「ワクワクする」「これは大事にしたい」――そのような自分の心の声に従って一歩ずつ進んでいけば、それがのちに点と点がつながります。

言葉や頭で理解するよりずっと早く、私たちの心は自分のニーズをちゃんと分かっています。

自分の心の声を信じて一歩ずつ着実に進んでいきましょう。

心の声を聴けなくなるのが一番いけない

世間や常識といった周りの声にかき消されて、自分の心の声が聞こえなくなっているのが一番いけません。

特に変化が早く不確実なVUCAな時代には環境がどんどん変わっていきます。

どんな人でも新たなやり方にチャレンジする局面が増えていきます。

誰にも先は見えません。

でも、あなたの心はあなたの求めるものをすでに分かっているはずです。

だから興味と直感、自分を信じる力が必要なのです。

自分を信じて一歩一歩、自分が大切にしたい方、信じる方へ進んでいきましょう。

1つずつ理想が実現できていき、振り返るとちゃんとそこに道ができています。

焦らずにマイペースで今日できることを積み重ねていけば大丈夫です。

興味と直感から理想を実現するステップ

次に、興味と直感から理想を実現するステップをまとめておきます。

やりたいことがあるけどどう叶えていけばいいか分からない、なかなか行動できない状態は、理想と現実のギャップが大きく、最初のハードルを高く設定してしまっている時です。

理想を実現できる人は、今の自分に無理なく登れる小さな段差を着実に上っています。

最初ほどハードルを小さくしてゆっくりスタートし、大きく育てるのが効果的です。

迷ったら頭だけで考えずに実際に試してみて決めましょう。

いきなり本番で1回で成果を出そうと思ったら、ガチガチになって行動できなくなります。

すべての行動は試作、「とりあえずやってみよう」と思うくらいでちょうどいいのです。

思った結果にならなくても失敗ではありません。それは、「試してみた結果、試さなければ分からなかったことがよく分かった」という成果です。

そのように試行錯誤を楽しみながら、自分の目指す目的地に進んでいくことこそがキャリアデザインの面白さであり、醍醐味です。

短期的な成果だけに捉われず、自分らしく進んでいきましょう。

心の声を聴いて今日できる一歩を積み重ねれば、道は必ずつながっていきます。

無意識にやりたいことにフタをしていませんか?

自分の人生・キャリアですから、「心の声をよく聴いて、自分が大事にしたいことを大事にし、自分が信じる方へ進んでいけばいい。」

言われてみれば当たり前のことです。

しかし、忙しい日常に流されたり、いろんな人の意見に左右されているうちに、忘れがちになってしまうこともあるのではないでしょうか?

特に新しいことにチャレンジするときには、「本当にこれでいいのかな?」と迷ってしまうことはよくあります。

私はクライアントから「自分のやりたいことがよく分からない」「どういう道に進みたいのかよく分からない」という声を聴くこともよくあります。

しかし、そのようにおっしゃる方に、「漠然とでも、妄想でもいいので、何かやってみたいこと、興味のあることはありませんか?」とお尋ねすると、「こんなことがやってみたい」と具体的に語られる方が多いのです。

つまり、本当は自分のやりたいことや進みたい道が分かっています。

分かっているのに「本当にそれでいいのかな?」「そんなことできるのかな?」と、自分の直感や興味、そして自分自身を信じられない方が多いのです。

もちろん、できるかどうかはやってみないと分かりません。

しかし、一度きりの人生、「そんなことやってうまくいくのか?」「そんなことでいいのか?」と自分のやりたいことを封印し、自分の直感や興味を疑いながら生きていく生き方と、興味と直感に従い、自分を信じてやりたいことにチャレンジする生き方と、どちらがいいでしょうか?

正解はありません。

ぜひあなたが選びたい方を選んでください。誰にも遠慮はいりません。

この記事を書いた人

常光瑞穂

人と組織のWin-Winで幸せな成長を支援する心理コンサルタント。国家資格キャリアコンサルタント。臨床心理士。

京都大学大学院工学研究科修了後、子どものころから憧れたエンジニアとなるが当時の長時間労働の働き方が合わず1年余りで退職。自身のキャリアが見えなくなったことを機に京都大学、立命館大学大学院にて心理学を学ぶ。2003年開業。修士(人間科学、工学)。