勉強や運動など、やると決めたことがなかなか続かないことはありませんか?
そもそも人間の脳には現状維持したいという本能があります。
ですから、新しいことをはじめて継続するのは、現状維持の本能に逆らうことになるため難しいのです。
一方で、現状維持したい本能があるということは、学習習慣や運動習慣を一度身につけてしまえば、それを継続するのは比較的簡単ということでもあります。
つまり、新たな行動をするときには、最初にある程度継続して習慣にするまでが一番難しく、そこを乗り越えられずに3日坊主になってしまうことが多いのです。
この記事では、新たな行動を習慣化するために最初に取り組むべき、たった一つのコツをお伝えします。
特別な資格やスキルはいらない、簡単な内容です。
しかし、このたった一つのコツを知らなかったり、誤解して逆のことをやってしまって、三日坊主になることが多いのです。
ぜひ、最後までお読みいただき、あなたが三日坊主にサヨナラして、やりたいことを継続し、もっと毎日を充実させられるように、ご参考になれば幸いです。
目次
新たな行動をするときは、最初ほど小さく、少しずつ始めるのがポイントです。
人間には「現状維持したい」という本能があります。
毎日歯磨きをするのにそれほど労力はいらないように、昨日と同じことをやり続けるのは簡単です。
しかし、どんなにやりたいことでも、新しい行動を起こすのは現状維持したい本能に逆らうことになり、負荷がかかります。
だから、最初ほど小さく無理なく始める必要があります。
小さく生んで大きく育てるのがコツです。
例えば、300ページのちょっと難しい読み応えのある専門書を1か月で読みたいとしたら、どのようなスケジュールを立てますか?
皆さんから一番多く聞く答えは「30日で300ページだから、均等に割って一日10ページずつ」というやり方です。
しかしそれでは、最初のハードルが高くなってしまいます。
すでに読書習慣があり、毎日通勤時間に専門書を10ページくらい読んでいる人が、次の日も同じように10ページ読むのは簡単です。
しかし、今まで全く読んでいなかった人が0ページから10ページにするのは大変です。
多くの人はこの最初のハードルが越えられずにつまづいてしまいます。
最初は気合で無理して何とか読んでも続かなくて3日坊主になってしまいます。
ですから、最初のハードルを小さくして、初日は目次を見るだけ、2日目は1ページ、3日目は2ページなど、少しずつ増やしていくのが効果的です。
最初にこんなにゆっくりで間に合うの?と不安になるかもしれませんね。
下のグラフの合計はどちらも300ページになります。
右の方は最初にゆっくりやった分、12日目以降は一日あたりの読む量は左のように均等に10ページずつ読むときより多くなります。
しかし、どちらのグラフが上りやすいかは一目瞭然でしょう。
毎日読書を続けて11日目に10ページ読めている人が、翌日11ページ読むことはそれほど難しくはありません。
少なくとも、0ページからいきなり10ページに増やすよりはずっと簡単です。
最初はゆっくり、少しずつ増やしていく方が難易度が低く、確実に実行できます。
無理なく成果が続く好循環ループに入れる方は、このように最初の段差を小さくする、自分が登れる段差を設定して着実に登ることが上手なのです。
だから無理なく行動でき、行動すればするほどリソースが身につき、成果を出しやすく、継続しやすいのです。
三日坊主にサヨナラして、やると決めたら継続する力をつける、習慣化のコツは、「習慣になるまでは行動量・頻度を少しずつ設定して、徐々に増やしていくこと」です。
言われてみたら当たり前のことと思われるかもしれません。
しかし、案外実践できていないことも多いのではないでしょうか。
よくあるNGパターンとして、最初から飛ばし過ぎ、やりすぎてしまうことがあります。
何かをはじめようとするとき、最初はモチベーションが高かったり、気合が入っているのが一般的です。(だからこそ「始めるぞ!」と思うのですよね。)
例えば、「今年こそ運動するぞー」と、スポーツジムに入会した時、初日が一番モチベーション高く、やる気満々です。
その勢いに任せて、これまでほとんど運動していなかった人がいきなり2時間運動してしまったり、「会員になったからには元を取るぞ!」と、レッスンに入り、プールにも行き、次は筋トレもしよう!というようなバチバチに気合いが入った行動量・頻度で始めてしまうことも多いのです。
すると、次にジムに行こうと思ったら、「どうせ行くなら1時間は運動しなきゃ」などと無意識にハードルがあがってしまいます。
そして、「今日はそれほど時間が取れないから明日行こう」。
翌日になったら「結局今日もバタバタだったから、時間に余裕のある週末に行こう」。
そして週末になったら「うーん…今日は雨かぁ…(めんどくさいなぁ…)」。
このように先延ばしになり三日坊主になりがちです。
こんなふうに最初にやりすぎて三日坊主になることがある方は、ぜひ「少しずつ始めて、ちょっとずつ増やす」ことを意識してみて下さい。
現状維持したい本能に逆らって頑張るぞ!本能に打ち勝つぞ!と気合を入れるのではなく、新しい行動を始めようとしていることを本能に気付かせないくらい、少しずつやるのがオススメです。
本能のパワーは絶大です。本能と戦ったり、ケンカを売っても勝ち目はありません。
運動したいと思うなら、まず今すぐ立って、廊下や近所を5分だけ歩きましょう。そして、翌日は10分に増やしたり、筋トレを5分だけやるなど、本能に気づかれないくらい少しずつ始めて、「現状維持していますよ」と本能をだましながら、シレッと、こそっと、少しずつ行動を増やしていきましょう。
そして、三か月後、半年後、気付いたら毎週運動する習慣ができているとか、通勤中にゲームをやるのではなく、英語学習のアプリを開く習慣ができているとか、そのように習慣化されれば、逆にやらない方が気持ち悪くなります。
そうなれば、現状維持の本能は強力な味方になってくれます。それまで焦らず少しずつ取り組んでみて下さいね。
常光瑞穂
人と組織のWin-Winで幸せな成長を支援する心理コンサルタント。国家資格キャリアコンサルタント。臨床心理士。
京都大学大学院工学研究科修了後、子どものころから憧れたエンジニアとなるが当時の長時間労働の働き方が合わず1年余りで退職。自身のキャリアが見えなくなったことを機に京都大学、立命館大学大学院にて心理学を学ぶ。2003年開業。修士(人間科学、工学)。