キャリアコンサルタント
心理コンサルタントの常光です

昨日、岸田首相が
「労働移動の円滑化」が必要だとして

・自己都合で離職した場合の
 失業給付の見直し

・リスキリングを
 国が会社を通じて支援するのではなく
 直接個人をサポートする仕組みの構築

などの考えを示しました。

(参考:NHK NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230215/k10013981761000.html

日本の人と組織の関係性

社会の変化に伴い、
人の価値観が多様化し、
一人一人求める生き方や働き方が
大きく変化しています。

しかし日本の「人と組織の関係性」は
昔ながらの制度や慣行のまま硬直していて、

個人にとっても組織にとっても
不幸せな状態になっている部分が
まだまだ多いと感じます。

APACの14か国・地域を対象とした調査では、
「現在の勤務先で継続して働きたい」と
考える人の割合は
日本が最下位となっています。

出典:人材版伊藤レポート参考資料集(経済産業省)

一方で、転職の意向がある人の割合も
日本が最下位。

また、独立・起業志向のある人の割合も
日本が最下位となっています。

出典:人材版伊藤レポート参考資料集(経済産業省)

何とも切なくなる
最下位3冠取得です(T_T)

つまり、現在の日本では約半数が
「今の会社で続けて働きたくはない」と
思っています。

かといって積極的に転職したいわけでも
起業したいわけでもない。

「他にやりたいこともないし、
やれることもないから
(と思い込んでいるから)
仕方なくここに居続けるしかない」
と、消去法で変わらないことを選んでいる。

そんな姿が見えてきます。

日本企業は「人を大事にする」って
言ってなかったっけ?

しかし、こんな現状とは裏腹に
「日本企業は人を大事にする」という
イメージをお持ちの方、
そんな言葉を一度は聞いたことがある方も
多いのではないでしょうか。

人を大事にしているはずの組織で
働き続けたい人が半数しかいないなんて
一体どういうことなのでしょうか。

「日本企業は人を大事にする」というのは
「簡単には人を辞めさせない」という
意味合いが強いでしょう。

かつては、まっさらな新人を採用し、
仕事を通じて会社が育て
終身雇用を保障するあり方が
人にとっても組織にとっても
Win-Winで幸せな時代がありました。

しかし、変化が早く、寿命が延び、
価値観が多様化している現在では
そのような「大事にし方、され方」によって
次のような弊害が起こっています。

・(そもそも労働移動を前提にしていないので)
 自社の業務には精通しても
 他社で利用できるスキルが身につかない

・自分のキャリアを自分で考えられない
 (キャリアに対する自発性が削がれてしまう)

その結果、
「この会社にいたいからいる」
「この仕事をしたいからする」という
状態ではなく

「やりたいことも分からないし、
他社で通用する気もしないし、
辞められないからここにいる」
という状態になっている人が多くいます。

これは、人にとっても企業にとっても
不幸な関係でしょう。

ますます高まる「人」の重要性

企業にとって人が大事なことは
今も昔も変わりません。

むしろ、企業価値の源泉が
「モノ」から無形資産にシフトし、
以前よりもさらに「人」の重要性は
高まっています。

定型的な作業をするだけの
人数がいればいいという「人」ではなく、

創造力を発揮し、
価値を創造する担い手としての
「人」が求められています。

「他にできることもないし、
したいこともないから
仕方なくここにいる」という人が
創造力を発揮し、
価値を産み出せるとは思えません。

政府の方針を
「雇用が不安定になるのか!?」
「将来どうなるんだー!」といった
表面的なとらえ方ではなく、

本当の意味での
人と組織のWin-Winで幸せな関係性を
促進するための議論や対話に
つなげていくことが大切だと思います。


常光瑞穂(じょうこうみずほ)
キャリアコンサルタント/心理コンサルタント
やりたいことを実現し価値を創造する、人と組織のWin-Winで幸せな関係性をつくるための問題提起とサポートをしています。


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