「キャリアプランが具体的に考えられない」
「転職や異動の際にどう答えたらいいんだろう?」と
お悩みではありませんか?

結論から言うと、
長期的で詳細なキャリアプランを
考える必要はありません。

動画でもご覧いただけます

長期的・具体的なキャリアプランは
誰にもつくれない

10年後に何をしているかなんて
分からないですよね。

世の中はどんどん変わるし、
自分も変わっていきます。

今好きで取り組んでいることも
10年後には飽きてしまっているかもしれません。

ですから、10年後の具体的で詳細なキャリアプランは
そもそも誰にもつくることができません。

しかし、クライアントさんから
「将来のことが具体的に考えられてなくて……」
というお悩みをとてもよく聞きます。

「具体的に考えられてなくて恥ずかしい」とか
「ちゃんと考えられてなくてスイマセン」なんて
謝られることすらあります。

謝らなくてもいいのにね。

具体的で詳細な長期プランを
つくらなければならないと思い込んで
悩んでおられる方が多いので、
今回このテーマでお伝えすることにしました。

結論から言うと、
長期プランは具体的・詳細に考えなくてOKです。

ありたい自分の抽象的なイメージは必要

では、未来のことなんて分からないから
何も考えなくていいかというと、それも違います。

具体的なプランではなく、
ありたい自分の抽象的なイメージは必要です。

つまり、10年後どんな自分でいたいか

これは仕事で何をしたいかという
限定的で具体的なことではなく、
「こんな生き方がしたい」という
人生全体の方向性を示すものです。

実現すべき具体的な数値目標ではなく、
「こんな自分でありたい、あり続けたい」と
思うことが自分のモチベーションになるものです。

ありたい自分の抽象的なイメージは
好きなことや心が動くことから考えていきます。

ありたい自分の抽象的なイメージ
つくり方の例

私を例にお話しすると、
私が好きなことは
「自然」や「ありのまま」、素朴なものです。

海や自然の中にいると心から幸せを感じます。

生き方としても
「自然体」で「ありのまま」を大事に、
肩ひじ張らずに好きなことを楽しんで
ラクに幸せでいられたらいいなと思っています。

そして、どうしたらもっとラクに
自然体で幸せになれるかな?と
「考えること」、「デザインすること」が好きです。

自分が自然体で幸せに生きるだけではなく、
クライアントさんを支援することで、
自然体で楽しく幸せになる人が
増えたらいいなと思います。

それが生産性の向上や
多様性につながると思うことが
自分のモチベーションになります。

ありのままで強みや魅力があるのに
努力の方向性を間違っている人が、
今あるリソースを活かす方向性で
努力できるようになったら、
ものすごくコスパがよく、生産性アップです。

また、「ありのままの自分でいいんだ」と
自分を認められる人が増えたら
多様性につながります。

ですから、10年後の私のありたい姿は、
「自然体で楽しく幸せに生きることを通じて、
生産性の向上や多様性に貢献している
自分でありたい」というビジョンです。

これは実現できたかどうかが数値で確認できる
具体的な目標ではありません。

そもそも私一人の力で
日本の生産性や多様性が
どうこうできることではありません。
(そんな権力ないし、持ちたくもないですw)

もし10年後に日本の生産性が爆上がりして
ものすごく多様な社会になっていたとしても、
それは私のお陰では全くありませんよね。

その方向性でがんばった人がたくさんいて、
そういう世の中になっていっただけです。

ですから、10年後にありたい姿は
実現できるかどうかが大事なのではなく
自分が「そんな自分でありたい」
「その方向を目指したい」と思うことが
モチベーションにつながることが大事です。

ありたい自分の見つけ方 

長期的なありたい姿=ビジョンは、
好きなことや心が動くことから、
抽象的な「こんな生き方がしたい」という
イメージを見つけていきましょう。

最初から未来をイメージするのではなく、
まずはこれまでの人生で嬉しかったことや
心から幸せを感じたことなど、
過去を振り返るとヒントがあります。

忙しい現代社会、目の前のタスクや
人の要求を満たすことに追われているうちに
自分の気持ちが分からなくなっている人もいます。

それではいくら過去を振り返っても
ヒントは見つかりませんから、

その場合は、自分がどんなことに幸せを感じるのか、
自己理解からはじめていきましょう。

▼自己理解については、こちらのコラムもどうぞ▼

抽象的なイメージは自己満足でいい

どんな生き方がしたいと思っても自由です。

人それぞれの価値観ですから、
抽象的なイメージは何でもOKです。

いい悪いはありません。

立派なビジョンを掲げても
あなたのモチベーションにつながらなければ
意味がありません。

自己満足でいいですし、
自己満足のほうがいいです。

たとえば「人から認められる自分」が
ありたい姿という場合、

モチベーションの源泉が
自分の中にある感情ではなく、
自分の外にある人から認められることになります。

「認められたらやる気になるけど
認められないとやる気が出ない」という状態だと、
自分の人生をコントロールできる感覚が持てず
ストレスになります。

行動も長続きしなかったり、
ムラがあったりと不安定になりがちです。

「こういう自分でいられたら
カッコいいよな!素敵だな!」と
自己満足で心が動くことが正解です。

「こういう自分にならねばならぬ」と
プレッシャーで苦しくなるようなら
それはあなたのありたい姿ではなく、
どこかが間違っています。

ありたい姿から逆算して
具体的な仕事や活動を考える

10年後にこうありたいなという
抽象的なイメージが持てたら、

では具体的にどんな仕事や活動をして
その10年後をつくっていくのかと、
ありたい姿から逆算して
具体的な行動を決めていきます。

たとえば、私の場合なら、
「自然体で楽しく幸せに生きることを通じて、
生産性の向上や多様性に貢献している
自分でありたい」という抽象的イメージに向けて、

今取り組んでいるのは、
コンサルやセミナー、
こうしてコラムやYouTubeで情報発信をしています。

こういった活動をし続けるための
スキルアップも必要です。

具体的にはキャリアデザインや心理学など
コンテンツの中身について学ぶことはもちろん、
情報発信のための動画編集やホームページのつくり方、
PRの方法やSEO、
SNSなどツールの使い方を学んでいます。

プライベートでは、
旅行や自然の中で遊ぶのが好きなので
ダイビングやSUPなど、
自分自身も自然体で楽しく幸せに暮らせるように
好きなことをムリなくやっています。

このように長期的で抽象的なイメージと
短期的で具体的なタスクや行動を比べた時、

抽象的イメージの方は
10年後もあまり変わらないでしょう。

変わっても全然いいのですが、
大きな価値観の変容というのは
それほど頻繁に起こるものではありません。

一方で具体的な活動の方は
10年後にはおそらく大きく変わっているでしょう。

10年前に自分がメルマガを発行したり、
YouTubeに動画投稿するなんて
思ってもいませんでした。

それと同じで10年後に
具体的に何をやっているかなんて分かりません。

今は楽しくやっている旅行や趣味も
10年後には飽きているかもしれません。

もっと楽しいことを見つけているかもしれませんし、
10年後にはもっと楽しい遊び方が
普及しているかもしれません。

仕事でも、もしかしたら
キャリアコンサルティングをAIがやってくれて、
自分で強みややりたいことに気付けなくても
AIが教えてくれる未来が来ているかもしれません。

身体に埋め込まれたチップで
自分が喜んだり幸せを感じた時の
データを収集して分析してくれて、
「あなたの目指す方向性は
これではないですか?」と
AIが提案してくれたり、

「アレクサ、私の人生どう生きればいい?」
なんて対話したら、
アレクサ先生がコンサルしてくれる未来が
来ているかもしれませんよね。

(注:専門家ではない一般人の妄想ですw)

そんな未来になったら
自分で強みややりたいことに気付けない人でも
間違った方向性で苦しい努力をすることが減って
みんなが楽しく幸せになれたら
それもステキなことだなと思います。

そんな未来になったら、
私はもうコンサルやセミナーを
やっていないでしょう。

しかし、
人が自然体で楽しく幸せになれることを考えたり、
生産性の向上や多様性につながったら
うれしいなーという想いはそれほど変わらず、

10年後もその時代の中で
何かしらやりたいことを見つけて
楽しくやっているんだろうな、
そうなったら嬉しいなと思います。

そして、具体的な活動は変わっていっても、
今やっている具体的な活動を通じて得られた
スキルや知見、出逢った人とのつながりは、
今後もずっと消えることがなく、
10年後も活かされているでしょう。

キャリアデザインの進め方

キャリアデザインのすすめ方は、
まずありたい姿の抽象的なイメージを持ちます。

これは3か月後や来年ではなく、
10年後とか5年後とか
ある程度長期でイメージした方が考えやすいです。

来年のことを考えると
それは抽象的なイメージではなく
具体的なプランになってしまいますから。

まずは夢みたいな妄想でいいので、
「○歳になったときこんなふうだったら素敵だな」
というありたい姿をワクワクイメージしましょう。

そのイメージができたら、逆算して
では今何を取り組むべきか、
ありたい姿を実現するための具体的な手段としての
仕事や活動を考えます。

具体的な手段は時代とともに変化していきますので、
あまり長期に考える必要はありません。

せいぜい1~2年後ぐらいで十分です。

ムリに考えようとしなくても
勝手に10年後の具体的なイメージが浮かんで、
気持ちがワクワクしたり、
モチベーションがわいてくるならそれもOKです。

想像力や発想が豊かで素晴らしいですね。

長期的で具体的なプランは
「ムリに考えなくてもいいよ」という意味で
考えてはいけないという意味ではありません。

ただその具体的なイメージを
「必ずこの通り叶えなければいけない」と
こだわりすぎないようにしましょう。

なぜかと言うと、
今考えている10年後の理想のイメージよりも、
実際にはさらに素敵な未来になることが
多いからです。

10年前の自分と今の自分を比べると、
今の自分の方が知識も多いし、
視野も広がっていますよね。

今考える「10年後の理想像」は、
あくまで今の経験や知識、視野の範囲の中でしか
想像できません。

20年前に「YouTuberになりたい」という人が
いなかったように、今想像できる範囲内でしか、
理想の10年後は考えられないのです。

ですから、今想像できる具体的なイメージに
こだわりすぎてしまうと、
今想像できる範囲内の小さな理想を
叶えてしまうことになります。

長期的・抽象的なイメージを持って
具体的な活動をしていく中で、
経験値も増え、視野も広がり、
人との出逢いやつながりも増えていきます。

リソースが増えるので
想像よりも素敵な未来が手に入ることが多いのです。

そのためには「こうありたい」という方向性、
抽象的なイメージを持っておくことが必要です。

ありたい姿のイメージが持てていないと、
進みたい方向に必要なリソースを増やすのではなく
「あれもやりたい」「これも楽しそう」
「こういうこともこれからの時代は必要かも」と、
目の前の情報に振り回されてしまいます。

エネルギーが分散してどこにも行けません。

ですから、抽象的なありたい姿を
イメージすることが大事です。

転職・異動の際のキャリアプランのつくり方

具体的で長期的なキャリアプランは
誰にも作れないのですが、

転職や異動希望を出すときなど、
なぜこの仕事につきたいのか、
10年後のキャリアプランは?と
聞かれることも多いでしょう。

そこは答えられるように準備しておきましょうね。

もしこのコラムに共感して下さったとしても
「10年後のことなんて誰にも分かりません」と
面接や面談で言うと損しかしませんからねw

まずこれまでお話ししてきた通り、
前提として自分のありたい姿から逆算して
仕事や部署を選びます。

ありたい姿が明確ではなく、
「この分野に行っといたほうが
時代の流れにあってていいんじゃないか」と
ただ流行りものに飛びつこうとしたり、

「○歳までに転職しないと!」などと
焦りからよく考えずに決めようとすると、
面接や面談で志望動機を説明できません。

それっぽいことをつくって言っても、
相手は採用や人事のプロです。

「この人はあまり深く考えていないな」
「うちのカルチャーを理解してなさそうだし、
全然マッチしてなさそうだけど
なんで応募してきたんだろうな」と
すぐに見抜かれてしまいます。

そもそも転職や異動したいと思ったきっかけが
人間関係がイヤとか、
今の仕事がイヤとか、
やりたいことが明確ではない人も多いでしょう。

もちろん最初のきっかけはそれでOKです。

人間関係もめちゃくちゃ大事ですし、
仕事をしている時間は長いですから、
自分が楽しく取り組める内容や環境というのは
とても大事です。

だから最初はありたい姿が
イメージ出来ていなくても全然大丈夫です。

ですが「分からないから
とにかく環境を変えてみよう」と
飛び込んでいくのではなく、
この機会にありたい姿からイメージすることに
取り組むと効果的です。

人間関係が理由で辞めたい場合

たとえば人間関係が理由で辞めたい場合、
今の人間関係の何がイヤなんだろう?
どんな人と働きたいんだろう?と考えてみると、
ありたい姿を見つけるヒントになります。

以前の私のクライアントさんに
「尊敬できる経営者さんのところで働きたい」
という理由で転職した人がいます。

この方は、最初は
自分のありたい姿が分かっていませんでした。

なんとなくイヤだな…辞めたいなとか、
そろそろこの仕事もいいかなって感じで、
2回転職経験がありました。

3回目の転職をするときに
「次は長く勤められるところを見つけたい」と思い、
はじめてありたい姿を掘り下げて考えてみました。

まずこれまでのキャリアを振り返る中で、
最初に新卒で勤めた会社が一番長く働いていて、
仕事も一番楽しかったことを思い出しました。

しかし、尊敬していた社長さんが引退し、
世代交代されてからだんだんつまらなくなって
辞めてしまったそうです。

その後2社お勤めされたところは、
最初は新しい仕事を覚えるのが
楽しかったそうです。

しかし、経営者さんや上司に
尊敬できないところが見えると
だんだんイヤになってきたという
自分の気持ちに気付きました。

仕事内容は3社目の会社が
一番自分の興味やスキルに合っていましたが、
一番楽しく、充実していたのは1社目の会社で
尊敬できる経営者さんとともに
働けたことだったそうです。

つまりその方にとって、
「尊敬できる経営者や上司の元で働く」ということが
仕事の内容以上に大事ということです。

そこで、3回目の転職にあたっては、
仕事内容は3社目でやっていた
好きで得意なことを選び、

さらに、「尊敬できる経営者の中小企業で、
その人の姿勢を見ながら働ける」という
環境を重視して探していきました。

その結果、ピッタリな会社が見つかり、
それからは長くお勤めを続けておられます。

想いのある志の高い経営者さんで、
心から尊敬できて、
身近で働けることで成長できるのが楽しいと
とてもイキイキされています。

経営者さんとしても、
会社の理念や志に共感して入社した人は
職場の風土にもマッチしやすく
同じ方向を向いて
働きやすいのではないでしょうか。

人間関係が理由で転職してはいけない、
やりたい仕事内容を見つけなければ!と
思い込んでいる人もいますが、

「こんな人と働きたい」
「こんなチームで働きたい」という
人間関係もあなたのやりたいことです。

人間関係で仕事や活動を選ぶことは
もちろんアリです。

自分の気持ちや価値観を確認してくださいね。

説明用キャリアプランのつくり方

転職や異動の際の説明用キャリアプランは
ありたい姿から逆算して、
1~2年後までは具体的なプランを
つくることができると思います。

御社に入社できたら/
この部署に異動ができたら、
このようなスキルを活かして
こういうふうに活躍したいとか、
さらにこういうことにも取り組んで
スキルアップしたいとか、
この先1~2年のことはある程度具体的に
イメージできるでしょう。

もしそれが分からないなら、
転職先や異動希望先での
具体的な業務が分かっていないということです。

ですから面接や面談で
どう説明しようか考える前に
転職先や異動先について
もっとリサーチをしたほうがいいですね。

リサーチしてみたら
全然やりたい業務じゃなかったとか、
カルチャーに全く共感できない場合、
そもそも転職や異動しないほうがいいですからね。

1~2年より先の具体的なことは
誰にも分からないので、想像でOKです。

1~2年こういう業務に取り組んだら、
こういうスキルが身につくだろうから、
次はこういうことにもチャレンジしたいとか、
こういう貢献ができそうだとか、
想像でストーリーをつくりましょう。

最初からやるつもりもないのに
「やります!」とウソをついて
転職したり異動したりすると苦しいですが、

「こういうふうにスキルアップしたい」
「こんな貢献がしたい」と展望をもって入社しても、
やってみたら想像以上に難しかったり、
時代が変わってしまったり、
できないこともあります。

実際にできるかどうか分からないし…と
謙虚になりすぎて、
面接や面談で想いや意欲を伝えられずに
ソンをしてしまう人がいます。

注意して下さいね。

あなたがありたい姿をかなえる過程で、
「このような貢献ができます」という
企業や職場にとってのメリットを
しっかり伝えていきましょう。

説明用のキャリアプランは
立派なプランであることよりも、
一貫性があることが大事です。

「こんな貢献をします」と口では言うけど、
今までのその人のキャリアや生き方と
一貫していないなとか、
心からやりたいことではなくて
口先だけというのは
すぐ見抜かれてしまいます。

相手は人事や採用のプロですから。

ただこれは難しいことではありません。

自分のありたい姿から逆算して考えれば、
自然と一貫性はあるはずです。

「どうありたいか」という
抽象的なイメージからはじめれば、
大事にしたいこと、価値観、好きなことが
その人らしさとなって現れます。

「この人はこういう生き方をしたいと
人生全体を考えたうえで、
そのビジョンをかなえるために
うちの会社や部署で
こういう貢献をしたいんだな」という
一貫したストーリーとして伝わります。

そのためには抽象的なありたい姿のイメージを
持つことが大切です。

ここは焦らずにしっかり内省して
自分なりのイメージを見つけてくださいね。


常光瑞穂(じょうこうみずほ)
キャリアコンサルタント/心理コンサルタント
経営者・ビジネスパーソンが本当のニーズをかなえるための生き方デザインをお伝えしています。


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