このコラムでは、
本当に望む生き方を実現する
生き方デザインの5つのステップの
Step1について詳しくお伝えします。

生き方デザイン5つのステップ

  • 全体の流れ
  • Step1【気づき】現在地=今の自分を知る←今ここ
  • Step2【深める】コンセプトデザイン
  • Step3【調べる】リサーチ
  • Step4【決める】計画をつくる
  • Step5【テスト】やってみて軌道修正

動画でもご覧いただけます

生き方デザインのはじめ方

生き方デザインのStep1は
現在地=今の自分を知ることです。

そもそも、なぜ現在地が
分からなくなってしまうのでしょうか?

それは「分かっている」と
思い込んでしまうからです。

道に迷ったとき
「今いる場所が分からなくなっている」と
気付いていれば、

人に尋ねたり、
地図と目の前の風景を照らし合わせたりして、
現在地を見つけることはそう難しくありません。

しかし、「今いる場所はここだ!」と、
間違った場所を現在地だと
思い込んでしまっていたら、
そのまま進み続け、もっと迷ってしまいます。

自分のことは、
なかなか客観的にとらえられないため、
分かっているつもりで
間違った認識をしていることがよくあります。

たとえば、
息を吸って吐くようにできる一番の「強み」を
強みと認識できず、
「このぐらいできて当たり前」と
過小評価していたり、

逆に、たいして優位性があるわけではない
二番手の強みを「一番の強み」と
勘違いしてしまったりします。

また、忙しい日々に追われる中で
本当にやりたいことが
分からなくなっていることもあります。

「今の自分」が分からないのは
主観や思い込みのせい

今の自分が分からなくなるのは、
主観や思い込みに
隠されてしまうからです。

サングラスをかけていると、
見るものすべてに色がついて見えます。

それと同じように、
自分のことも主観や思い込みという
フィルター越しに見ています。

自分がどんな主観や思い込みを
持っているか気付いていないと、
主観や思い込みという色をつけて見た姿を
「本当の自分」と
勘違いしてしまいます。

それで強みを客観的に認識できなかったり、
本当に心からやりたいことではなく、
目の前のタスクや人からの要求を
「自分がやりたいことだ」と
間違ってしまうのです。

やりたいことのはずなのに
なかなか行動に結びつかないときや、
楽しめていないときは、
本当のニーズではなかったり、
何らかの思い込みが邪魔をしている
可能性が高いです。

その状態で
気合や根性だけで
がんばって突き進もうとすると、
本当のニーズではないことに
時間とエネルギーを
大量投入し続けてしまいます。

まずは、
自分の主観や思い込みに気付くことが、
今の自分=現在地を知るための
一番の近道です。

主観や思い込みに気付く方法

自分の主観や思い込みに気づくためには、
無意識に頭の中に現れる自分の言葉を
キャッチしてみてください。

私たちの脳内には一日5万回以上、
さまざまな言葉が
浮かんでは消えています。

その言葉にその人の持つ
主観や思い込みが表れます。

たとえば、
「本当にやりたいことってなんだろう?」と
自分に問いかけたときに
「こんなことをやりたい」という答えのほかに、
さまざまな考えが浮かんでくることに
気づきますね。

「やりたいこと…なんだろう?
思いつかないなー」という言葉が
浮かんでいる人もいるでしょう。

やりたいと思いついたことに対して
「あ!いいね!それ面白そう!」
「想像するだけで楽しくなってきた!」
「何からはじめようかな?」
そんな言葉が浮かんでいる人もいるでしょう。

「やり方が分からないな」
「やったからってどうなるの?」
「誰も興味ないでしょ」
「失敗したらヤダなー」
「うまく行くかな?」
「なんかめんどくさいな…」
「そんなしょうもないことでいいのか?」
「もっとやるべきことがあるんじゃないか?」
そんな言葉が浮かんでいる人もいるでしょう。

頭に浮かぶ言葉の内容は人それぞれ違い、
同じ人の中では
かなりワンパターンになっています。

そのパターンがその人の
主観や思い込みということです。

そういう言葉が
1日5万回以上ですから

何年も何十年も
似たような言葉を毎日繰り返し
自分自身にかけ続けているということです。

そして、その9割以上が無意識です。

これは、頭の中に常に
大音量のスピーカーがあって、
自分の意思とは関係なく
特定の言葉を流し続けているような状態。

心の中で「こんなことがやりたいな」と
言っているちっちゃい人がいても、
スピーカーから流れ続ける
特定の言葉の方が大音量だと、
その「やりたい」という声はかき消され、
聞こえなくなってしまいます。

そうして、本当のニーズが
分からなくなっていきます。

逆に、自分の頭の中で、
どんな言葉が
流れ続けているのかが分かれば、
その言葉とは別の
「これがやりたい」という声も
だんだん聞き取れるようになっていきます。

無意識の言葉に「気づくだけ」でいい

ここで大事なのは、
頭の中に浮かぶ無意識の言葉を
変えようとするのではなく、
気づくだけでいいということです。

たとえば、
「失敗したらヤダな」という言葉が
よく浮かんでいるなら、
それに気付くだけでいいです。

気付けばそれ以外の声も
聞き取れるようになります。

本当はやりたいことなのに、
失敗を恐れて封じ込めてしまっていた
気持ちに気付くこともあるでしょう。

冷静に考えると
やりたいことではないのに、
失敗を避けるためや、
失敗したときの言い訳のために
「一応やっとこう」と思ったことを
「やりたい」と
勘違いしている場合もあります。

「人から『あいつ失敗してるな』と
思われたくない」というのが
より本質的なニーズで、
やりたいと思っていることは
そのための手段だと
気付くこともあるでしょう。

どう考えるのがいい悪いではなく、
「こういう気持ちなんだな」と
ありのままに正しく観察することが
大事です。

Step1の目的は
「今の自分を知る」ですから。

相反する2つのニーズもそのまま捉える

「やりたいけれど、失敗したくない」と、
両方の気持ちがあることも多いでしょう。

その場合は、
「やりたい」と「失敗したくない」の
2つのニーズがあると捉えましょう。

「両方のニーズがあるなんて、
やるの?やらないの?どっち?」と
焦らないでください。

具体的に何をどうするか
計画を決めるのはまだ先のStep4です。

Step1は「現在地=今の自分を知る」段階。

具体的な計画を
決める段階ではありません。

ここを間違ってしまうと、
前回のコラムでもお伝えした
生き方デザインのステップの
順番がおかしくなっていて
うまくいかないパターンになります。

たとえば、
スイーツを食べたいし、
痩せたいというような
相反するように見える2つのニーズを
同時に持っていることは
よくあることです。

(私のことです 笑)

そのまま2つのニーズがあると
ありのままを観察して下さい。

それが現在地=今の自分を
正しく理解するということです。

思い込みを
無理に変えようとすると逆効果

頭の中の無意識の言葉に
気づいていくうちに、
今の自分に不要な思い込みを自然に手放せ、
ラクになることもあります。

たとえば「失敗したらヤダ」とか
「失敗したらどうしよう」とか
「失敗のことばっかり考えてるんだなー」という
自分に気付き、客観視しているうちに
「なんだかあほらしくなってきたなー。
別に失敗したっていいじゃん」と、
自然に思えるようになる。

そして気付いたら
「失敗したらヤダ」と
あまり考えなくなっていた。

こんなふうに自然に手放せるのなら、
とても素敵なことです。

しかし、自然に手放すのではなく、
ムリヤリ変えようとするのは逆効果です。

「失敗したらヤダな」と思っているのに
「こんなふうに思っちゃダメ!
失敗を恐れず行動できる
自分にならなきゃ!」などと
ムリに変えようとしないでください。

ムリに変えようとすると、
心の中にある
失敗に対する恐れや不安にフタをし、
気にしてないふうの自分を演じてしまいます。

これでは本当の想いがますます分からなります。

「思い込みをなくさなければ!」という
考え方自体が最強の思い込みとなり、
より一層自分が見えなくなってしまうのです。

思い込みはなくそうとせず、気付くだけ。
これがめちゃくちゃ大切です。

このコラムでお伝えしている
生き方デザインの目的は
「欠点のないすごいあなたをつくること」では
ありません。

「あなたを幸せにする生き方をつくること」です。

特に自分に厳しいストイックな方ほど
「生き方」ではなく「自分自身」を
改造しようとしてしまいます。

本当に望む生き方を実現するために必要なのは
自分改造ではなく、生き方のデザインです。

デザインするものを
間違えないようにしてください。

思い込みは、あるかないかではなく
気付いているかいないか

主観や思い込みというのは、
その人なりの物の見方、価値観と
言い換えることもできます。

ですから、
思い込みがある人とない人がいるのではなく、
人はみんなその人なりの
物の見方、思い込みを持っている
のです。

「思い込みが強い」と言われる人は、
自分が持っている
主観や思い込みに気付いていません。

それが自分の考え方ではなく
「常識。みんなこう考えるのが普通」と
思っています。

思い込みにとらわれていない人は、
「私はこんなふうに物事を認識しがち」という
自分の主観や思い込みに気付いています。

思い込みは「あるかないか」の違いではなく、
「気づいているかいないか」の違いです。

気付いていれば、思い込みにとらわれて
現在地を間違ってしてしまうことは
少なくなります。

主観や思い込みに気付くと
ありのままの自分が見える

自分が持っている主観や思い込みに気付くと、
自然とありのままの自分の姿が
見えるようになってきます。

「へぇー。こんなことやりたいと
思ってるんだ」という
自分のニーズが見えてきます。

恥ずかしいと思うニーズも
あるかもしれません。

「え?そんなことでいいの?」
「こんなことが目標になるの?」と
拍子抜けするようなニーズも
あるかもしれません。

「そんなのムリに決まってる!」と
ちょっと怒りたくなるような
ワガママなニーズもあるかもしれません。

それでいいのです。

それこそあなたが
「こう思うのは恥ずかしい」とか、
「こんなことは人生の目標にならない」とか
「こんなことできるわけがない」と、
思い込みで心の中に封じ込めていた
本当のニーズだからです。

それを発見するのが
このStep1の目的です。

ですから、こういうニーズが出てきたら
Step1は大成功です。

また、ニーズだけではなく、
強みや弱みなどの特性、価値観や興味、
持っているリソースなども見えてきます。

客観的観察から
ありのままを活かす発想が生まれる

どんな人にも強みや魅力があります。

また、自分では弱みと
思っていることも、
活用の仕方次第では強みになります。

例えば「ふせん」は
もともと強力な接着剤をつくろうとした
研究の失敗から生まれました。

強い接着剤をつくろうとしたら、
すぐにはがれる弱い接着剤ができたんです。

その時はそのデータは
全く陽の目を見ることがありませんでした。

しかし、それから5年後に
データを見た別の研究者が
「これはこれで、しおりに使えるのでは?」と
ひらめき、「ふせん」という
画期的な製品ができました。

「接着剤はモノとモノを
くっつけるものなんだから
強力なもののほうがいい」と思い込んで
データを客観的に見られていなければ、
このような発明はうまれません。

発想力というのは、
「面白い発想をしてやろう」と
意識して身につくものではありません。

主観や思い込みにとらわれず、
物事をありのままに観察できる
観察眼から発想は生まれる
のです。

発想力がないと
本当のニーズをかなえる生き方を
デザインすることも難しいです。

「ま、現状維持でいいか」って
思ってしまいますからね。

能力+活用スキル➡幸せ

能力はあるだけでは幸せにつながりません。

能力を活用するスキルがあってはじめて、
幸せにつなげることができます。

たとえば、
資格や経験を持っているだけでは、
幸せにはなれません。

その能力を課題解決や、
人を楽しい気持ちにしたり、
生活を便利にするなど、
活用してはじめて
持っている能力が幸せにつながります。

能力を新たに習得することよりも、
すでに持っている能力を活用するスキルを磨く方が
幸せになるためには近道です。

いくら能力を増やしたところで、
活用するスキルがなければ、
ゼロに何をかけてもゼロ。

幸せにはつながらないからです。

ただ、自分が持っているものを活用する以前に
「役に立たないもの」と思い込んで
把握できていない人がとても多いです。

現在地=今の自分が分からない状態は、
例えるなら倉庫にたくさんモノがあるのに、
中がグチャグチャで
何があるのか把握できていない状態です。

これでは宝物をたくさん持っていても
活用できません。

身近でよく知っていると思っているものほど
思い込みで見えなくなる

1つ例を挙げてみましょう。

1975年生まれの私にとって、
カセットテープは
「古くて使えないもの」という認識でした。

子どもの頃は日常的に使っていて、
楽しい想い出もたくさんあります。

しかし30年ほど前から
カセットは私の脳内で
「古くて使えないもの」と分類され、
忘れ去られていました。

何年か前に、若者の間でカセットが
ブームになっていると聞きました。

そのとき改めて
カセットをはじめて見る人になったつもりで
新鮮な目でとらえようとしてみました。

すると「テープがくるくる回る
機械的な感じがカッコイイ!」と
ワクワクしました。

子どもの頃、はじめてカセットを
使ったときもこんなふうに
「すごいな!」とワクワクしていんだっけ、
と思い出しました。

カセットが再びブームになったのは、
懐かしいからではありません。

また、機能面でずば抜けた
優位性があるからでもありません。

こんなふうに人をワクワクさせる
プロダクトとしての魅力があるからです。

しかしカセット→CD→MD→iPod→配信という
歴史を体験してきた世代の私には、
カセットが持つプロダクト本来の魅力は
「古いもの」という思い込みに隠され、
すっかり見えなくなっていました。

カセットをはじめて見る世代の人は、
そのような思い込みを持っていないから、
本来の魅力を偏見なくとらえられるのです。

ブームになったといっても
カセットが配信にとって代わることは
ないでしょう。

しかし「古くて使えないもの」ではなく
「アナログで機械的でワクワクするもの」という
プロダクト本来の魅力は、
時代を越えても変わらず十分活用できます。

このように自分にとって身近で
よく知っていると思い込んでいるものほど、
思い込みにとらわれ、
魅力や良さが分からなくなることがあります。

自分自身は自分の一番身近な人です。

だからこそ自分の魅力や良さに
気付けないこともたくさんあります。

Step1では自分という倉庫を整理して、
自分の能力やニーズを
偏見なく把握していくことにつとめましょう。

きっとたくさんの宝が
眠っていることに気付くはずです。

ありのままの自分が観察できるようになり、
自分という倉庫が整理できて少し見えてきたら、
次はStep2【深める】コンセプトデザインです。

ニーズを抽象化して
全体像、方向性を見出していきます。

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常光瑞穂(じょうこうみずほ)
心理コンサルタント/キャリアコンサルタント
経営者・ビジネスパーソンが本当のニーズをかなえるための生き方デザインをお伝えしています。


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