HR系専門誌『月刊人事マネジメント』
2024年1月号~8月号に連載しておりました
「人的リソース活用のための『セルフ・アウェアネス(自己認識)』の高め方」
全8回記事をダウンロードいただけます

企業活動において最も重要な経営資源は「ヒト」、つまり「人材」です。

その価値を最大限に活用し、組織の成果と個人の幸せを最大化するためのカギとなるのが正しい自己認識(セルフ・アウェアネス)です。

自分を正しく認識できてはじめて、自分に合った仕事や働き方で幸せに価値創造でき、企業と社員がWin-Winな状態を構築することができます。

つまり「自分をよく知ること」がすべての出発点になりますが、残念ながら内省の方法が間違っていたり、自分自身に対する誤った思い込みに捉われていたりして、自分を正しく認識できていない人も多いのが現状です。

自分を正しく認識できないと、他者のことも正しく認識できず、チーム活動にも悪影響が生じます。

本連載では、自己認識の定義やその高め方、チーム全体で自己認識力を高め、心理的安全性の高いチームを作るためのポイントについて、具体例を交えて解説しています。

一人でも多くの方が、自分を正しく認識し、幸せに成果につなげられるよう一助となれれば幸いです。

想定している読者様

  • 働きやすく生産性の高いチームづくりをしたい経営者・管理職
  • 人事担当者
  • 自分の強みや適性を活かしてキャリアデザインし、幸せに成果を出したいビジネスパーソン
  • 思い込みに気付き、自分を正しく認識する力を高めたい方

連載内容

「人的リソース活用のカギは自己認識(セルフ・アウェアネス)」

  • 限られた経営資源を有効活用するために
  • 持っていても認識できなければ価値はゼロ
  • 自己認識は人材リソース活用の第一歩
  • 自己認識が高い人は成果と満足度が高い

企業活動において最も重要な経営資源は「ヒト」つまり人材です。経営に必要なモノ、カネ、情報、時間、知的財産などの資源は、それを活用する「ヒト」があってこそ価値を発揮します。

特に現代では、企業価値の源泉が有形資産から無形資産へとシフトしており、「人材」はその無形資産の中核となります。

さらに少子化・人口減少により、人材の確保・定着がますます困難になっています。

本記事では、これらの課題に対処するカギとなる「自己認識(セルフ・アウェアネス)」の重要性、自己認識力が高い人の特徴を解説しています。

②「自己認識は『内』と『外』のバランスが大切」

  • 自己認識の2 つの側面
  • 内と外のバランスが大切
  • リーダーに必要な外的自己認識
  • 八方美人に疲れたら内的自己認識を高めよう

自己認識には、「内的自己認識(自分自身を理解する力)」と「外的自己認識(他者からの視点を理解する力)」の2つの側面が存在し、この両者をバランスよく高めることが必要です。

内的自己認識が高い人は、自分の価値観や強みを明確に理解しており、満足度や幸福感が高いというデータがあります。

一方、外的自己認識が高い人は、周囲の期待や評価を正確に把握しており、外的自己認識力は管理職には欠かせないスキルです。経営者や人事担当者にとっては、リーダー育成や選抜の際のヒントとなるでしょう。

自己認識の「内」と「外」のバランスが悪いと、自分の内的な興味や価値観にこだわりすぎたり、逆に他者からどう見られているかを気にするあまり八方美人や優柔不断な状態になり、いずれも成果が限定的になります。

本記事では、自分自身の自己認識の内と外のバランスを確認し、両者をバランスよく高めるための方法を解説しています。

③「自分の内面を意識するときの注意点」

  • 間違った内省はメンタルヘルスを悪化させる
  • 「なぜ」でなく「何/どんな」と問いかける
  • 観察には自己肯定が必要
  • 強みを見つけようとするより、今ある自分を活かそうとする

自己認識を高めるために内省を深めることは重要ですが、多くの人が内省の方法を間違っており、過度な反省や自責に陥り、メンタルヘルスを悪化させるだけに終わってしまうことがあります。

自己認識を高めるためには、反省や自責ではなく、自分を客観的に観察することが必要です。

そのための具体的な方法論として

  • 「なぜ」ではなく「何/どんな」と問いかける
  • 観察には自己肯定が必要
  • 強みを見つけようとするより、今ある自分を活かそうとする

というポイントについて紹介しています。

④「自己認識を難しくする心の仕組み」

  • 知識がない分野ほど、できると思い込む
  • 自分を知らない人ほど、知っていると思い込んでしまう
  • 自分の能力を過小評価してしまうバイアス
  • 認知バイアスの良い点もある

自己認識を妨げる「認知バイアス」は、人材活用における大きな課題です。

特に、「初心者ほど自分の能力を過大評価する」(ダニング=クルーガー効果)や、「優秀であるにも関わらず自信を持てない」(インポスター症候群)といった認知の歪みは、個人の成長を阻害します。

しかし、このような認知バイアスについて知っておけば、自分の認知を修正でき、間違った思い込みのまま方向性を誤ってしまうことは防げます。

本記事では、これらのバイアスを克服するための実践的な方法を提示しています。

さらに、このようなバイアスがあるからこそ悲観的になりすぎずにチャレンジできたり、メンタルヘルスが保たれるというメリットもあります。

認知バイアスを「間違い、ダメなもの」と切り捨てるのではなく、正しい知識を身につけ、上手に付き合っていきましょう。

⑤「フィードバックの効果的な受け取り方」

  • 裸の王様にならないために
  • フィードバックは真実ではない
  • 情報が多いほど、自己認識の解像度が上がる
  • あいまいなフィードバックは具体化が必要
  • 事実と相手の解釈を分ける

効果的なフィードバックは、自己認識を深める強力なツールです。

しかし、自分では気づいていなかった自分の姿を突き付けられると、それが真実であっても(真実であればこそ)、心理的に受け入れがたいと感じることもあります。

さらに、フィードバックには伝え手の主観が入るため、ただ素直に受け取ればよいわけではなく、どこまでが事実で、どこからが相手の意見なのかを切り分けながら受け取ることも必要です。

本記事では、フィードバックを効果的に受け取るための具体的な方法や考え方を解説しています。

⑥「気づきにつながる効果的なフィードバックの与え方」

  • 伝える前に理解と関係づくり
  • フィードバックを伝える前に合図をする
  • 目的を明確にし、具体的で建設的な伝え方をする
  • 双方向のコミュニケーションをする

効果的なフィードバックを与える際には、伝え方やタイミングを間違えないことが重要です。

本記事では、

  • 伝える前に理解と関係づくり
  • フィードバックを伝える前に合図をする
  • 目的を明確にし、具体的で建設的な伝え方をする
  • 双方向のコミュニケーションをする

といった効果的なフィードバックを与えるためのポイントを具体的に解説しています。

人事担当者やリーダーにとって、部下やメンバーの自己認識力を高め、行動変容を効果的に促すための実践的なノウハウが満載です。

⑦「思い込みが激しい人に気づきを与えることはできるのか」

  • 映像や録音を活用する
  • 「思い込み」と「その人」を分けて考える
  • 自己肯定感が低いと気づけない
  • 行動変容には時間がかかる

思い込みが激しい人に正しい自己認識を持ってもらうことは難しいですが、適切なアプローチで可能です。

本記事では、思い込みが激しい人に、映像や録音を活用して客観的な視点を提供したり、「思い込み」と「その人自身」を分けて考え、客観的にフィードバックを行う手法について紹介しています。

さらに、自己肯定感が低い人ほど、客観的に自分を認識することは難しいため、思い込みの背景にある自己肯定感の低さなどの要因を正しく理解し、焦らずに繰り返しフィードバックを行うことが大切です。

思い込みが強くて行動変容が難しい方でも、この記事に示す具体的な手法により、時間をかけて思い込みを緩和し、自己認識を高めることが可能です。

特にリーダーや人事担当者にとって、メンバーの潜在能力を引き出すための実践的なアイデアが詰まっています。

⑧「自己認識力の高いチームづくり」

  • チームワークが良いチームほどミスが多い⁉
  • 率直に伝えられないのが人間の本能
  • 伝えることにメリットがある環境のつくり方

約30年ほど前、心理学者のエイミー・C・エドモンドソン氏はチー
ムワークと医療ミスに関する調査を行いました。当初は「チームワ
ークが良いチームほど、ミスが少ないだろう」という仮説を検証す
る目的で行われた調査でしたが、結果は真逆。「チームワークが良いチームほどミスが多い」というデータが得られました。

追加の調査で、チームワークがすぐれたチームには率直に話す風土があり、気軽にミスを報告したり,話し合ったりできている――つまり、実際にはミスが多いのではなく、ミスの報告数が多く、ミスから学び、高パフォーマンスにつながっていることが分かりました。この風土の違いが「心理的安全性」と名付けられました。

本記事では、率直に意見を言い合える環境が整え、チーム全体で自己認識を高め、働きやすく生産性の高い組織を作るための具体的な方法を解説しています。

経営者やリーダーにとって、即実践できる貴重な知見・ノウハウが満載です。

執筆者プロフィール

常光瑞穂

人と組織のWin-Winで幸せな成長を支援する心理コンサルタント。国家資格キャリアコンサルタント。臨床心理士。

京都大学大学院工学研究科修了後、子どものころから憧れたエンジニアとなるが当時の長時間労働の働き方が合わず1年余りで退職。自身のキャリアが見えなくなったことを機に京都大学、立命館大学大学院にて心理学を学ぶ。2003年開業。修士(人間科学、工学)。

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