「子どもの将来が心配」
子を持つ親なら、誰もが感じたことのあるお気持ちでしょう。
特に、子どもが中学、高校、大学と進み、進路を決める段階になっていくと、
「子どもに、やりたいことは?と何も聞いても出てこない…」
「これからの時代、安定している職業って何だろう?」
「うちの子は受け身で頼りなく見えるけど、大丈夫なのかなぁ?」
親の方がそんな不安でいっぱいになってしまうことも少なくはありません。
その結果、
「イライラしてつい強い口調になってしまう」
「怒らないようにと思っているのに怒ってしまい自己嫌悪」
「子どもといい関係を築きたいのに、難しい年頃で困っている」
そんな想いを抱える方もいらっしゃいます。
一方で、親が不安を感じることなく、ご自分の人生も楽しみながら、お子さんの夢や将来も余裕をもって応援したり見守ったりしている、そんな親子関係もあります。
その違いはどこにあるのでしょうか?
この記事は、特に思春期以降のお子さんを持ち、子どもの将来や先のことに漠然とした不安やストレスがあるという方に向けて書いています。あなたが、お子さんとの関係に不安やストレスを感じることなく、穏やかな気持ちで毎日を過ごせるようになる方法が分かります。あなたとお子さんがともに自分らしく幸せな未来を手にするために参考になれば幸いです。
「AIの台頭でなくなる仕事」そんな雑誌やインターネットの記事やテレビの特集を見ることも多くなりました。オックスフォード大学の研究によると、「今後10~20年程度で、アメリカの総雇用者の約47%の仕事が自動化される可能性が高い」という予測もあります。
そのような変化の時代にあって、自分の子どもは将来大丈夫なのだろうか?安定した職に就けるのだろうか?と不安を感じる方もいらっしゃるのは当然です。
しかし一方で、時代の変化に不安を感じるどころか、
「会社に雇用されなくても起業もしやすくなっているし、いい時代だ」
「年齢に関係なく、やりたいことにチャレンジできる時代になった」
「海外にも行きやすくなり、選択肢が増えた」
のように歓迎している親御さんもいらっしゃいます。
その違いはどこにあるのでしょうか?
あなたは自分の本当の想いに気づいていますか?
「子どもの将来が不安なんです」こんなふうにおっしゃる親御さんは実は、お子さんではなく親御さんご自身が将来に不安を感じておられます。
例えば、「子どもがフリーターで収入が安定してなくて、部屋もぐちゃぐちゃ。実家暮らしで今すぐは困らないかもしれないけど、将来大丈夫なのか?」そんなふうに心配されている親御さん。
客観的にお話を聞くと、お子さんは何も心配することがない、ごく普通の若者、と言ったことがほとんどです。
確かに、雑誌やテレビに取り上げられるようなスゴイ人ではないかもしれないし、誰もが名前を知っている有名企業で働いているわけでもないかもしれない。しかし、普通にアルバイトをし、休みの日にはたくさん寝てリフレッシュしたり、ゲームしたり、友だちと遊びに行ったりという生活を送っていて特に心配するようなお子さんではないことがほとんどです。
そして、お子さんご自身は将来に不安がなくはないけど、追い詰められるほど不安でいっぱいというわけではなく、逆になぜ親がこんなに口うるさくいってくるのかが分からないということも多いですね。その温度差が親御さんからしたら、「安定した職にも就かず、フラフラしているのに危機感もない!」と、一層不安をかき立てられ、ますます温度差が広がっていることもあります。
あるクライアントさんのお話をご紹介します。
思春期の娘さんを持つ母である明美さん(仮名)のお話です。
明美さんは専門職としてフルタイムでとてもお忙しくお仕事をされるかたわら、ひとり親世帯で、女手一つで一人娘の夏希さん(仮名)を育てています。仕事も子育てもとても頑張り屋さんな方です。
そんな明美さんが「子どもがフリーターで安定してなくて、将来が心配。仕事も長続きせず、家にこもりがちで、かといって家事もせずダラダラ過ごしている。」と心配し、心理学セミナーに来てくださいました。
明美さんは内的バージョンアップ心理学講座を受講され、心理学を学ばれました。娘の夏希さんはセミナーには一度も来ていませんが、明美さんが心理学を学んでいくにつれ、娘の夏希さんは自分のやりたいことを見つけ、親元を離れ、自律して生活し、友達や仕事仲間にも恵まれて見違えるようにイキイキとした生活を送るようになりました。
「この子は結婚できるんだろうか?」そんな明美さんの心配もいい意味で裏切られ、ステキな彼氏もできて、青春を謳歌しておられるそうです。明美さんも娘さんの変化がとてもうれしく幸せをかみしめる毎日です。
そんな明美さんに、以前のことを尋ねてみるとこんなふうにおっしゃっていました。
「以前は、『うちの子はできない』と思い込んでいました。さらに、それが自分の『思い込み』であることにも気づかず、その時の自分の中では『うちの子はできない=事実』というふうに捉えていたんです。だから、子どもを有名企業に入れるとか、資格を取って安定した仕事に就かせるとか、現実を変えないと問題解決できないと思っていたんです。
それで、毎日娘を叱咤激励し、変えようとしていました。そうすることが親の務め、親の責任だと思っていました。自分としては精いっぱい娘のためにと頑張っているのに、どうしてうまくいかないんだろうと、娘が変わらないことにイライラしてストレスでいっぱいになっていました。
周りの人が良かれと思って『夏希ちゃんはできない子じゃないよ、焦らなくても大丈夫だよ』などと言ってくれても、『家でのダラダラしたあの子を見てないから、他人だからそんな無責任なことが言えるんだ』と思い、分かってもらえないという思いでますます苦しくなっていました。誰もそんなことは言っていないのに周囲から『子どもを認められないダメ親』と責められているように感じて、人に相談するのも嫌でした。
今思えば娘自身もバイト先でもうまくなじめず、家でもガミガミ言われてつらかっただろうなと思います。それで委縮して、ますます力が出せなくなっていたのかなぁと思います。」
明美さんは、内的バージョンアップ心理学講座を受ける中で、「うちの子はできない」というのは事実ではなく、自分自身の思い込みであることに気づかれました。
そして、娘さんの職業や成績によって自分が不安になっているのではなく、「フリーターでは先が不安だ」とか、「安定した企業に入らないと将来はない」といった自分の思い込みによって、自分が不安になっているという自分の気持ちにも気づくようになりました。
以前は、「自分が不安になっている」という自分の気持ちにも気づかず、「子どもができないからイライラするのは当たり前だ」と思っていたそうです。
大切なお子さんのことを「できない」と思い込んでいたなんて、本当に苦しかったでしょうね。
心理学では「過去と他人は変えられない。未来と自分は変えられる。」と言われます。
親子であっても他人ですから、子どもを変えること、ましてや意のままにコントロールすることなどできません。
変えられないものを変えようとし、コントロールできないものをコントロールしようとすれば、ストレスがたまるばかりでうまくいくはずがないのです。
明美さんはまさにそんな悪循環にはまってしまっていたんですね。
明美さんだけではなく、多くのクライアントさんのお話を聞くと、明美さんと同じように「子どもを変えなければ」と責任を背負いすぎて苦しくなっている方がたくさんいらっしゃいます。
あなたはいかがでしょうか?
この記事を読んでくださっているということは、あなたにもそんな苦しさや、以前の明美さんに対して「わかるよ」と共感するお気持ちがおありになるのかもしれません。
もしあなたが、以前の明美さんと同じように「子どもを変えなければ」と思っていたり、「わかってくれない周りの人に理解してもらわなければ」と思っていたとしたら、変えられないものを変えようとし、コントロールできないものをコントロールしようとしていますから、頑張ってもなかなか成果が出ず、とても苦しいはずです。
頑張っても成果が出ないことで「私のやり方が間違っているのか?」と自分で自分を責めてしまい、ますます追い詰められてしまうかもしれません。
子どもは変えられなくても、自分の気持ちをラクにしてあげることはできます。
「自分が不安になっている」と気づけば、自分の不安をしずめるようにリラクゼーションに取り組むなど、自分を安心させてあげられるようにできることはたくさんあるのです。
「自分の考えが自分を不安にさせている」と気づけば、不安につながる考え方を、安心が得られる考え方に変えていくことができます。
「うちの子はできない」と思っていた明美さんも、「うちの子はコミュニケーションは苦手だけど、黙々と作業するのは飽きずに続けている」「うちの子はこんな強みもある」というふうに、自分自身の考え方を変化させることができました。
その結果、娘さんと接することがとてもラクになったそうです。
そして明美さんの考え方が変化し、ラクに接することができるようになると、娘の夏希さんはのびのび行動するようになりました。これまではコミュニケーションが苦手なのにそれを克服しようとわざわざコミュニケーションスキルが必要なアルバイトをして続かない…そんなことの繰り返しだったのが、無理せず自分に合ったアルバイトを見つけてきました。そして、自宅を出て一人暮らしをするようになったり、一人暮らし先でも友達や仲間を見つけてイキイキと楽しく生活するようになったり、みるみる変化していきました。
その変化を見た明美さんは、「今まで私が『できない』と決めつけていて、私があの子の可能性を奪っていたんですね。周りの人から『本当はできる子』と言われたのがやっと腑に落ちました。『私を責めていたわけではなく、本当のことを言ってくれてたんだな』と自分でも思えるようになりました。」とおっしゃいました。
明美さんも、娘の夏希さんも、本当に良かったですね。
また、明美さんは自分の価値観を変化させる過程で、自分自身のことも自分の娘を見るのと同じように「私はできない」「私はダメだ」と思っていた価値観があることに気づかれました。
つまり、職業や成績といった外的な基準で、子どもの価値を測ったり、安心感を得ようとしていたのと同じように、自分自身に対しても職業や成績といった外的な基準で価値を測り、自分で作った高い基準に達しないときには自分を責め、不安を強めていたことに気づかれたのです。
例えば、客観的に見たら十分成果を出しておられるのに、何年も先輩の大ベテランと比べて「あの人に比べたらできないことばかり。もっと頑張らないと!」と、自分に過度なプレッシャーを与えたり、できたことよりも失敗やミスばかりに目が向いて、完璧を求めるあまり、落ち込むことが多い、そんな自分自身の特徴に気づかれたのです。
価値観や思い込みは無意識であれば変えることはできませんが、「こんな価値観や思い込みがあり、自分を苦しめている」と気が付けば、書き換えることができます。
明美さんは、自分を苦しめている価値観に気づき、職業や成績に関わらず、自分には価値がある存在だとありのままの自分を受け入れ、自分を大切にできるように少しずつ変わっていきました。
そして、そのような自分で自分を縛る価値観ができた背景を振り返ったときに、明美さんご自身の母親との関係が出てきました。
そして、明美さんが娘にしてきた対応と、明美さんの母が明美さんにしてきた対応がそっくりであることに気が付きました。
そうして、明美さん自身の親との関わり方や距離感を見直すこともできたのです。
明美さん以外にも「お子さんとの関係に悩んでいる」という方は、ご自身の親御さんとの関係にも悩んでいる方がかなり多いです。自分の親との関係と子に対する関係とで同じパターンが起こっていたり、反面教師で『親のようには絶対にならないぞ!』という思いがかえってバランスを欠いて悪影響になっていたり、そこにはかなり共通項があります。
お子さんとの関係がラクにできるようになることは、親との関係をラクにできるようになることともつながります。
そしてその過程で、親との関係の中で幼少期から刷り込まれてきた様々な自分の信念や価値観に気づき、自分がより生きやすく、自分らしく生きられるような信念・価値観に変えていくことができます。
つまり、子どもとの関係もよりよくなり、親との関係もよりよくなり、自分自身も生きやすくなるという、一粒で三度おいしいを経験される方が多いのです。この3つはすべてつながっていますからね。
明美さんはお子さんとの関係に取り組む中で、明美さんご自身も本当にやりたい仕事が見つかり、家族や職場の方にも応援されて理想の仕事に転職されました。
当初は転職したいなどとは全く思っておらず、「福利厚生の良い恵まれた会社なので、定年までしっかり働こう」と思っていたそうですが、ご自身に向き合い、ご自身の気持ちや人生を大切にしようと決意されたら、本当にやりたいことが見つかったのです。
「決して品行方正な優等生というわけではなく、離婚もしたし、回り道もして、割と好きなようにやってきたつもりでした。だから、自分らしく生きれられていないなんて思ったこともなかったけど、こうして本当にやりたいことをやれるようになると、今まで無意識に『こうあらねば』とずいぶん自分で自分を縛ってきていたんだなぁとやっと気づきました。やっと本当の自分の人生が始まった気がします。」
転職後にそんなふうに語ってくださった明美さんの言葉がとても印象に残っています。
あなたがもし今、お子さんとの関係に悩んでいるとしたら、それは、「お子さんも、あなた自身ももっと自分らしく幸せになる方法がありますよ」というサインなのです。ぜひそのサインを受け取り、あなたも、お子さんももっとラクに、自分らしく幸せに生活できる…そんな世界に踏み出してみてください。
では、あなたもお子さんももっとラクに自分らしく幸せに生活できる、そんな世界に踏み出すためにはどうしたらいいのでしょうか?
この章では、そのための3つのポイントをご紹介します。
お子さんとの関係に悩まれる方は、以前の明美さんのように、「子どもを何とかしなければ」という考え方にがんじがらめになってしまい、自分の気持ちに気づいていない方、自分の気持ちを考える余裕すらない方が多いです。
今ではお子さんと尊重し合える関係が築けるようになった明美さんに「何が良かったと思いますか?」と尋ねてみました。答えは、「やっぱり自分に向き合ったことですね」とのことでした。
お子さんを幸せにするのは、お子さんの仕事。
あなたの仕事ではありません。
あなたを幸せにするのは、あなたの仕事です。
お子さんの仕事ではありません。
「子どもが幸せでいてくれたらいいなぁ」と願うのはとても素敵なことですが、実際にお子さんが幸せになるには、自分で自分の幸せを見つけていくしかないのです。
同じように、あなたの幸せを見つけていくのはあなた。お子さんの職業や年収、ステイタスがあなたを安心させてくれたり、あなたを幸せにしてくれるわけではないのです。
自分と子どもを線引きするのは、「お前なんかもう知らん!勝手にしたらいい!」と、突き放すこととは違います。
「子どもが幸せでいてくれたらいいなぁ」と願う気持ちはそのまま。捨てないでください。
でも、「安定した職に就かなければ、子どもは幸せにはなれない」「結婚しなければ子どもは幸せにはなれない」といったあなたを不安にさせるあなたの価値観は捨てていきましょう。
あなた自身が「安定した職に就けて良かった!幸せだ!」「結婚して子宝に恵まれてとても幸せだ!」と思われるならそれは素晴らしいことです。でも、幸せの形は人それぞれ。お子さんにはお子さんの幸せの形がありますからね。
お子さんの思う幸せの形が、あなたの思う幸せの形と違っていても心配する必要はないのです。
また、お子さんがやろうと思っていること、やりたいことを無理に理解したり応援する必要もありません。
あなたが理解しようとしまいと、応援しようとしまいと、お子さんにはお子さんの人生を自由に生きる権利がありますから、「応援しなければならない」なんてこともないのです。
分からないことは「わからない」とそのまま伝えていいのです。正直応援できない気持ちなら、無理に応援しなくても構いません。
「うーーーん。お母さんにはYouTuberって正直よくわからないなぁ~。でもあなたがそれをやりたいなら、誰にも止める権利はないよ。あなたの人生なんだもの。でもあなたが何をやりたいにしても、あなたが幸せでいてくれたらいいなとはいつも思っているよ。だからと言って、動画に出たり、資金援助とかはできないよ(笑)」そんな線引きの仕方もあります。
突き放す必要もなければ、理解できないことや心から応援できないことに罪悪感を持つ必要もありません。あなたが心地よく無理のないところに、さわやかに穏やかに線を引きましょう。
お子さんの将来が心配だとおっしゃる親御さんは「子どもが自立するまでは経済的に支えなければ!」と思っている方もとても多いです。
「子どもが安定した職に就けば家賃も払ってほしいけど、今は収入が少ないので無理。子どもが安定した職に就けば私も生活が楽になるので、早く子どもを安定した職に就かせたい」そんなふうにおっしゃる方もいらっしゃいます。でも、それは、順番が逆です。
家賃を入れる必要もなく、日々の生活に困らず、特に目的がなければ、お子さんはあえて収入をあげよう、自分のキャリアを真剣に考えようとは思いません。目的がなくても「もっと高収入を稼ぎたい!」「おしゃれなマンションに一人暮らししたい」と思うような野心や向上心のあるお子さんなら、そもそも、あなたはこうして悩んでおられないのですから。
もし、あなたが将来に対して経済的な不安を感じているなら、まずはその経済状況をお子さんと共有するのがオススメです。
「お金のことをあんまり言うとプレッシャーになるのでは?」と心配する方もいます。
もちろん、「うちはこんなに経済状態が苦しいんだぞ!何とかしろ!」と、プレッシャーを与えたり、危機感をあおるような言い方をするのは得策ではありません。そのような感情的な表現をせずに、ニュートラルに状況を伝えればいいのです。
「毎月これだけの収入と支出があって、私とお父さんはもう少し老後資金も貯めていきたいと思ってるの。だから、もしあなたが一人暮らしするなら、大きな家は必要ないから、お母さんとお父さんだけならこじんまりしたところに引っ越してもいいなと思っているの。あなたはどうしたい?何か考えてる?」
とニュートラルに伝えて子どもの意見や考えを聞いてみたり、
「あと1年は家賃を入れずにこのまま実家にいてもらってもいいけど、来年からは実家に住み続けるなら家賃を月〇万円入れてもらいたい。」
のように、期限をつけて家賃相当額を請求するなど希望を伝えてもいいでしょう。
一番よくないのは「お金のことは話してはいけない」と自分にブロックをかけてひたすら我慢して、たまりにたまったストレスを感情的にドカンと爆発させることです。
「いつになったら自立するのよ!家賃も払ってないくせに!」
「こっちはあんたの分まで仕事して稼いで大変なのよ!」
そんなことを突然言われるくらいなら、ニュートラルに今経済状態がどうなっていて、親が何を望んでいるのかちゃんと説明してもらった方がいいですからね。
そのように線引きをすることで、子どもの方でも、「家に家賃を入れるくらいなら一人暮らしした方がいいな。そしたらあと月5万は収入をあげたいな。別のアルバイトを探そうかな。」「副業が解禁になったから、何かやりたいことを見つけようかな」などと、自分の取り組むべき課題や目標が明確になるのです。また、シェアハウスを探したり、住宅補助のある仕事を探したり、自分らしく自律するための情報収集をはじめる子もいます。
「子どもから家賃を取るなんて、がめついのでは?」とおっしゃる方もいますが、家賃を取るのは親が得するためではなく子どものためです。
実家に毎月家賃を入れられる力があれば、「いつでも一人暮らしもできる」という自信になります。
「自分の力で生きていける」という自信があれば、多少のリスクがあっても自分のやりたいこととにチャレンジして人生を切り開いていけます。また、自分を傷つけるような人と無理に付き合わずに、自分を大切に生きていくことができます。
親が得するためではなく、子どもが自信をもって自分を大切にして生きていけるように、その最初の一歩として、力をつけてもらうために、経済的なことを考えて実践する、自信を持つ練習をしてもらうのです。
明美さんのように、子どもとの関係に取り組む中で、自分自身の考え方・価値観が変化し、ご自身の生き方がとてもラクに楽しくなったという方はとても多いです。
人生100年時代と言われる今、
「老後の生活資金は大丈夫だろうか?」
「元気で働けるうちはいいけど病気になったらどうしよう?」
ご自身が将来やお金に対する不安を感じていらっしゃる方もとても多いですね。
明美さんにも、もともとそんな不安が根強くありました。
今は「もしお金がなくなったら前からあこがれていた北海道の牧場で住み込みで働いてもいいかな」「冬は温泉地の仲居とかも楽しそうですよね」なんて穏やかにおっしゃっています。
お金の不安をなくすために必要なのは、貯金額ではありません。
お金の不安を持っている人は、貯金がいくらあっても「いつなくなるか」と不安です。
お金の不安をなくすために必要なのは、価値観や考え方なのです。
また、多くの親御さんには、子どもの自立を願いながらも離れていってしまうのが不安、寂しい、そんな気持ちもあります。
人間の脳は基本的には変化を嫌います。「マリッジブルー」「昇進うつ」といった言葉もあるように、嬉しい変化でも変化はストレスになりうるのです。
子どもが一人暮らしをはじめたり、自立に近づき関係性が変化すると、変化を嫌う脳は変化したくないと抵抗する気持ちが出てきます。そうして親御さんが不安やうつになったり、体調不良になったりすることがあります。それを「空の巣症候群」と呼びます。
対処法は、子どもの自立を「離れていく」「寂しい」と捉えるのではなく、「関係性の変化」とニュートラルに捉えることです。物理的には離れて住むようになったり、一緒に過ごす時間は減りますが、それは「離れていく」「見捨てられる」のとは違います。これからはお互い大人同士としての関係が始まります。
一緒にお酒を飲みながら仕事や育児の相談をすることもあるでしょうし、逆にお子さんから教えてもらうことも増えていくでしょう。
子育ての責任から解放されて、大人同士もっと自由に付き合えるようになります。新たな関係性をどんなふうに作っていきたいか、少しずつ考えていけばいいのです。
子育ての責任を終えて、自由に大人同士の関係性を築いていけばいい…そう言われたところでハタと困る方がいらっしゃいます。
「そもそも私は何がやりたいんだっけ?」
「ずーーーっと子育てと仕事に追われてきたから、自分のことなんか考えたこともなかった」
「子どもと、大人同士の関係性と言われても、どんな関係がいいんだろう?」
あなたはいかがですか?
あなたは、自分や子どもにとって何が幸せか、成長した子どもとどんな関係を自分が望んでいるのか、どうすればそれが実現できるのか、考えたこと、学んだことがありますか?
ほとんどの方は、そんなことは考えたことも学んだこともないとおっしゃいます。
一口に「子育て」と言っても、人には様々な個性があり、どの子も決して同じではありません。親子であっても別人ですから、自分と子どももやはり違います。子育ては、誰一人として同じ人はいない「人間」に向き合い、生活を共にし、成長を支援する役割ですから、相当な人間理解力を求められる役割なのです。
しかし、親になる過程で、本格的に心理学を学ばれたという方はほとんどいらっしゃいません。
とても大切な役割なのに、そのやり方を学んでいる方はほとんどいない。それでは迷ったり悩んだりするのは当たり前ですね。
内的バージョンアップ心理学講座で、心理学を学ばれた方は、口をそろえて
「なるほど!今までなぜうまくいかなかったのかがよく分かりました。」
「子どもと私とでタイプが違うことが理解できて、ストレスが嘘のようになくなりました。」
「こういうことを20年前に知ってたらずいぶん人生変わったでしょうね。もっと早く知りたかった。と言うか、義務教育で教えてほしかったなぁ」
こんなふうにおっしゃいます。
そうです、心理学を学べば、お子さんとの関係がずっと楽にストレスフリーでうまくいくようになります。
しかし、実際には、心理学を学んだことがないどころか、心理学を学ぶことでお子さんとの関係がうまくいくということにすら気付いていない方がほとんどなのです。
心理相談は問題が起こったら利用するものととらえて、問題が起こるまでは一人で頑張らないと!と一人で苦しんでおられる方がたくさんいらっしゃいます。
だからこそ、みんな一生懸命頑張っているのにうまくいかないのですね。
人間理解力や、家族関係をよりよくするスキルは、持って生まれた才能ではなく、後天的に身につけることができるスキルです。
自転車に乗るのと同じで練習すれば必ずだれでもできるようになります。
私のクライアントさんの中には、30年、40年と悩んできた親子関係が3か月で劇的に改善したという方も何人もいらっしゃいます。
最高齢の方は80代です。何歳からでも、いつからでも、より良い親子関係を手に入れることはできます。遅すぎることは決してありません。
ここまでお読みくださって、本当にありがとうございます。
私のクライアントさんは、人を援助する役割についている起業家・ビジネスパーソンの方ですが、仕事のご相談ばかりではなく、実は親子関係、家族関係を改善したいというニーズのクライアントさんはとても多いです。
そして実は、私自身も親子関係に長年悩み続けてきた一人です。私には子どもはいませんが、私は子どものころからずっと家族関係に悩んできました。私の生まれ育った家庭は暴力のある家庭でした。そのような家庭の中で、子どもの頃の私はいつも相手の顔色を窺ってビクビクして気が休まらず、「死にたい」と思ったことも何度もあります。
子どもとの関係に悩んでいる、子どもにイライラしてあたってしまう、子どもといい関係が築けないと悩んでいる親御さんのお話を伺うと、ご自身も子どものころ自分の生まれ育った家庭の中でつらい思いをしてきたということに気づかれる方が少なからずいらっしゃいます。
「自分の子どもには絶対にこんな思いはさせないぞ」
子どものころ、ひそかに心の中で誓った思いとは裏腹に、気づいたら自分が嫌だと思った親とそっくり同じような対応をしている自分がいるということに気づき、愕然とされる方もいらっしゃいます。
しかし、無意識のものは変えられませんが、意識して気付くことができれば、変えていくことはできます。
ご自身の過去やパターンに気づき、受け止め、自分を変える勇気を持ったクライアントさんがどんどん変わっていくのに何度も伴走させていただきました。
そうして、親子関係を劇的に改善させたクライアントさんは例外なくとても喜ばれます。ビジネスで、「何百万も売り上げが上がった」とか「昇進できた」とか「表彰された」という報告よりも、「娘がこんなLINE送ってくれた」と画面を見せて下さる時の方がデレデレして皆さんとてもうれしそうです。
人間は、どうでもいいことには悩めませんので、悩みやストレスを抱えるというのは、悪いことではなく、その人が大切に思っていることの裏返しでもあります。
親子関係に悩む方は、親子関係を大切にしたいという思いが強い方なのです。
あなたも、お子さんとの関係に悩んでいらっしゃるのだとしたら、お子さんとの関係を大切に思えばこそ悩んでおられるのです。
そのようにご家族への想いが強い方に、私がお役に立てることがあればとてもうれしく思います。
私自身も、かつて親子関係にとても悩み苦しんだ一人として、この世に一組でも幸せな親子が増えていったら、とてもうれしいからです。
お子さんがイキイキと幸せに生きるためには、何より、一番身近な大人である親御さんがイキイキと幸せに生きることが不可欠であると私は思います。
そうすれば、「大人になるって楽しそうだな」と、子どもは自分の将来を明るく考えられます。
自分らしく幸せにイキイキと自分の人生を充実させながら、お子さんの成長やさらなる幸せも親として支援してあげたい、そのような方のためにビジネスや人間関係に活かせる心理学セミナーを開催しております。ご興味のある方は、ぜひ案内をご覧ください。